186cmという長身の持ち主。一見コワモテだがふと見せる笑顔はとても優しい。――そんな島の前に突然ふらりと現れる牧野役が、妻夫木さん。島とは対照的によくしゃべるお調子者で、妻夫木さんの人懐っこい笑顔がぴったりハマっています。「そうですね。10年以上の付き合いになるぶっきーは、俳優としても人間としても素晴らしい男。オンもオフも彼とほぼ一緒にいたんですが、おかげでつまらない時間もなかったし、寂しさを感じることもなく、とても楽しく気持ちよく過ごせました。もし彼がいなかったら、今回の台湾ロケ自体、また違った印象になったように思います」
――台湾にはどれくらい滞在されたのですか?「『半分、青い。』が終わってすぐに台湾に行って、そこから1か月くらいです。それで髪型が、なんとなく秋風に似ている(笑)。本当は切るつもりでいたんですが、監督と話をして、台湾の空気に触れたら、これはこれでありかなと思えてきて。向こうでは風が本当に気持ちよく吹いていて、この風で髪がふわっと揺れたら、それだけで絵になって、自分でいろいろな表情をつくらなくてもお客さんは想像してくれるだろうな。これはやっぱり、伸ばしておいたほうがいいんじゃないの?と(笑)。そういう空気感の映画ですしね」
――確かに、島と牧野が台北の食堂で出会う長回しのシーンをはじめ、お2人がつくり出す“間”が台湾の少し湿った空気感や色彩と相まって、想像力や感情を刺激されました。「実際、台湾の景色は主役の一人になっていると思いますね。植物一つ、空や雲一つにも日本以上に力強いアジアのエネルギーみたいなものがあって、なんでこんなにパキッと映るんだろう?というくらい、鮮烈に力強くフレームの中を埋めている。なのでこっちも、それに負けないようにフレームの中にどう立つか? 役としてどういうふうに存在するか? みたいなことは、結構気にしました」