シス・カンパニー公演 『恋のヴェネチア狂騒曲 』
「こんな錚々たる顔ぶれの真ん中に立てるなんて、プレッシャー以上にやりがいと喜びを感じます。だって、舞台の上で右を見れば堤(真一)さん、左を見たら吉田(羊)さんや浅野(和之)さんがいるんですよ」と笑うムロツヨシさん。
ジャケット、カットソー、パンツ/COS(COS 銀座店)18世紀のイタリア喜劇を、コメディの奇才・福田雄一さんの台本と演出で上演する舞台『恋のヴェネチア狂騒曲』で主演を務める。
役柄は、2倍の報酬を得ようと、同時に2人の主人に仕えるお調子者の召し使い。ヴェネチアで落ち合う予定の恋人同士が、それぞれこの男を雇ってしまったことから、ドタバタの騒動が巻き起こる。
「自分の噓がバレないように架空の人物をでっち上げたり、自分の恋のために主人を利用したり。いろいろな人を巻き込んでいく役なので、共演の皆さんとの掛け合いが楽しみです。
福田さん曰く“ムロらしくあってほしい”とのことですし、役者の思いつきを最大限に生かした演出をされるので、たとえ稽古場が静まり返ろうとも(笑)、台本から思いついたアイディアを率先して出していくつもりです」
さすがは福田作品の常連、ムロさん。その俳優としての原点は、舞台の自主公演にあるという。
「映画やテレビ関係の人に何のつてもなかった僕には、舞台しか芝居ができる場所がなかったんです。舞台は劇場さえ予約すれば、そこでお芝居ができますからね。
その面白さに気づくのに5年くらいかかりましたけど(笑)、なんでやってるんだろう?と思いながらもやり続けたことで、自分がやりたいのはこれだというものに辿り着くことができました」
近年は恋愛ものやヒューマンドラマなど、シリアスな作品にも挑戦。活躍の場を広げている。
「世間の皆さんが、やっと僕のことを知ってくれ始めたと感じているので、その数を少しずつ増やしながら自分発信の舞台もつくっていって、“この人が出るなら観たい”と思われるような存在になれたらと思います。今回の舞台も、自分発信のものがとても大事になってくる作品。しっかり頑張ります」
ムロツヨシ(むろ・つよし)
1976年、神奈川県出身。大学在学中に役者を志し、99年に自ら作・演出・出演する独り舞台で活動を開始。主演を務める連続ドラマ『Iターン』(テレビ東京系)が7月より放送予定。
シス・カンパニー公演
『恋のヴェネチア狂騒曲 』
作/カルロ・ドルゴーニ
上演台本・演出/福田雄一
出演/ムロツヨシ、堤 真一、吉田 羊、賀来賢人、若月佑美、池谷のぶえ、野間口 徹、高橋克実、浅野和之ほか
2019年7月5日(金)~28日(日)
新国立劇場 中劇場
SS席1万2000円、S席1万円ほか
●お問い合わせ
シス・カンパニー
TEL:03(5423)5906
URL:
http://www.siscompany.com/siskoi/gai.htm 表示価格はすべて税込みです。 取材・構成・文/岡﨑 香 撮影/寺澤太郎 ヘア&メイク/ 池田真希 スタイリング/森川雅代〈FACTORY1994〉
『家庭画報』2019年8月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。