「海外のリゾートに負けない、軽井沢という地域性を生かした宿が「星のや軽井沢」です」―星野佳路さん
【「日本料理 嘉助」で棚田を眺めながらの朝食】
「山の朝食」は旬を迎えた夏野菜が主役。だし巻き玉子やあえものに使うだしも、野菜からとったものを中心に使っている。星のや軽井沢には、敷地中央を流れる川を囲むように配された「水波の部屋」、野鳥の森を遠くに望む「山路地の部屋」、専用庭のある「庭路地の部屋」、3タイプの客室があります。
室内にテレビはなく、聞こえてくるのは水の流れる音、風と木々の葉擦れの音、虫や鳥の鳴く声のみ。
宿泊客専用で光と闇の空間で温泉に入る「メディテイションバス」や、フロントのある「集いの館」、「日本料理 嘉助」を含めて一つの集落のようになっていて、その住人(宿泊客)たちは外を散策がてら歩いて移動。どこにいても軽井沢の自然と一体となった滞在が楽しめます。
客室から温泉やレストランへは一度外へ出て、路地を歩く。寒いときは作務衣の上にコートを羽織り、夜は懐中電灯を忘れずに。朝、早起きをしたら湯川沿いに設けられた遊歩道を散策。宿に戻れば、旬の野菜をたっぷりと取り入れた朝食が待っています。
湯川に沿ってつくられた水辺の散歩道。早朝はことのほか空気がおいしく感じられる。「軽井沢という土地の最大の特徴は“豊かな自然の中で文化的、都会的な滞在が楽しめる場所”であるということです。その地域性を生かしながら、海外のリゾートに負けない、今まで日本にはなかった本物のリゾート、宿をつくりたかった」と星野さん。
「星のや軽井沢」の集いの館前に、湯川の水を引き込んで生まれた棚田。棚田テラスでは日がな一日、清らかな水の音に包まれて穏やかな時間を過ごすことができる。宿の敷地内には写真の与謝野晶子をはじめ、星野温泉に逗留した文化人の碑がある。原則として2泊から、というのも、中一日をゆったりと過ごしてほしいという思いから。
最近は4、5泊する人も増え、なかには毎年30連泊するゲストもいるといいます。この宿がいかに愛されているかということを物語ります。
「日本料理嘉助」にて食事の準備をするスタッフ。各スタッフがさまざまな仕事ができる体制をとっている。 Information
星のや軽井沢
長野県北佐久郡軽井沢町星野
- 1泊1室9万8000円~(税・サービス料別)。基本は2泊~(1泊のみの予約は宿泊日の30日前より受け付け)。
表示価格はすべて税抜きです。
撮影/阿部 浩
『家庭画報』2019年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。