リコリスの球根、実はお高いのです。
私はこのリコリスがとても好きで、ちょうど開花を迎えることもあり連載の初回に選ばせていだたきました。数年前に仕事でお付き合いのあるガーデンで、リコリスが咲いているのを見たとき、その庭のヘッドガーデナーにお願いしたことがあります。
「もっとたくさんリコリスを咲かせて! リコリスの群生を見て見たい」。ヘッドガーデナーの彼の返事は「無理言わないでくださいよ、リコリスの球根いくらだと思ってるんですか」。そうなのです。リコリスの球根はチューリップやスイセンなどよりかなりお高いのです。
ちなみに手元にある球根のカタログを調べてみると、チューリップは15球で1500円程度。一方、リコリスは5球で1500円。群生させるとなると50球は必要。うーん、リコリスはかなり高級な花のようで……。
そんなリコリスの球根を約2600球も植えたガーデンがある!
さて、ちょっとお高いリコリスですが、私の望む群生の景色を見せてくれるガーデンがあるのです。神奈川県平塚市にある神奈川県立花と緑のふれあいセンター 花菜ガーデンです。
ここでは野生種、園芸品種を約80種も集めていて、2600球を超える球根が植えられています。リコリスは品種によって開花時期が異なり、早咲きのものは8月中旬には咲き、遅咲きの品種の中には10月に開花するものもあります。
今年の8月下旬に訪ねたときには、ナツズイセンとも呼ばれるスクアミゲラをはじめ、ナツズイセンのDNAを持つ園芸品種が美しい花を咲かせていました。9月には次から次へと遅咲きの品種も開花して、見応えのある群生となります。
これほど多種類のリコリスを見られるスポットは珍しく、一つひとつの花名もしっかり記してくださっているので、ここで撮影をすればリコリスの品種図鑑ができ上がってしまうのではと思うほどです。何よりリコリスの群生が醸し出す透明感のある景色は美しく、「なんてきれいなんだろう」と何度つぶやいたことか……。
花菜ガーデンで見られる早咲きのリコリス
リコリス・インカルナータ
リコリス・のほほん
リコリス・ピンキー
リコリス・ボヘミアン