リコリス・エマニエル
リコリス・ジャクソニアナ
儚(はかな)いからこそ美しい、リコリスの魅力を堪能できる
最後にもう一つリコリスの魅力をご紹介しておきましょう。リコリスは花の命がとても短く、3〜4日で枯れ始めてしまいます。また、葉の出方にも特徴があり、春に出葉(しゅつよう)するタイプ、秋に出葉するタイプがあるのですが、いずれも花が咲く前に葉は枯れてしまうため、地面から茎だけがすっと伸びた姿は少し不思議な印象で、花だけがよりクローズアップされます。
夏の終わりから秋の始めにかけて、いちばん多くの品種が咲き揃い、まるで花の妖精が季節の変わり目を知らせに、ふと庭に舞い降りてきたかのように私には感じられるのです。一瞬だけ鮮烈な花を咲かせ、跡形もなくなってしまう、その気まぐれな儚さもこの花の魅力なのかもしれません。
どうぞ妖精を見逃さないよう、旬の時期にその姿を探しにお出かけください。
Information
神奈川県立花と緑のふれあいセンター 花菜(かな)ガーデン
神奈川県平塚市寺田縄496-1
高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
ガーデニングエディター
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。現在は、種苗会社の会員向け月刊誌のほか、園芸雑誌などの編集に携わる。
写真/横田秀樹