応接室にあるのは、近代中国で最も優れた芸術家といわれる呉昌碩(ごしょうせき)の書。朝倉が贈った作品のお礼として贈られた。「この建築は全部日本的に、外国の真似を一切しないで、自分の独創でやる」といいきり、昇降機を設置するために鉄筋コンクリート造にせざるを得なかったアトリエには、浅茶色に染めた真綿を壁に張ることで温かみのある空間を演出。
自らを“水の信仰者”と呼ぶほど水を好み、最もこだわって設計したといわれる中庭は、大部分の面積を池が占め、鯉が優雅に泳ぎます。
回廊式の庭園は、南北約10メートル、東西約14メートルの敷地のほとんどを池が占める。朝倉はこの茶室から見た景色を最も好んだ。ほかにも、アトリエと木造の居住空間との境を自然につなげるための工夫が施されるなどこだわりは細部にわたりました。“朝倉流数寄屋”と呼ばれたこの建物自体が、朝倉の“哲学”を後世に語り継いでいます。
Information
台東区立朝倉彫塑館
東京都台東区谷中7-18-10
〔特集〕“アートの国・ニッポン”を楽しみつくす夏休み 心潤す緑陰の美術館へ
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撮影/鍋島徳恭
「家庭画報」2019年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。