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働き盛りの患者と家族の生活を支える「若年性アルツハイマー病」専門外来(前編)

2019.07.26

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なるべく早く治療を開始するために正しく診断することにも力を注ぐ


2019年4月、アルツクリニック東京は「若年性アルツハイマー病初診専門外来」を開設しました。

近年、認知症の原因の1つであるアルツハイマー病を対象とする専門外来(物忘れ外来など)の設置数は増えているものの、若年性に特化したものはほとんどありません。

こうした状況の中、同専門外来では若年性アルツハイマー病の名づけ親としても知られる新井平伊先生が中心となり、臨床心理士や看護師らとチームを組んで診療を始めています。

間違われやすい病気もあるので診断では見極めが重要に


アルツハイマー病は原因不明の進行性の神経疾患です。

アミロイドβたんぱくやタウたんぱくが沈着することで脳組織の中にシミのような固まり(老人斑)や神経細胞内に線維のもつれ(神経原線維変化)ができ、脳神経細胞が破壊されて記憶力や思考力などが失われていきます。

その結果、記憶障害や見当識障害といった特徴的な症状が現れます。症状が出現する時期は主に老年期ですが、65歳未満の初老期で発症する場合を若年性アルツハイマー病と呼んで区別しています。

「若年性の場合、初期症状としてうつ病が出ることがあるため精神疾患と間違われ、ある程度症状が進んでから確定診断がつくことも多いのです」と新井先生は説明します。

このほか、甲状腺機能低下症、アルコール性健忘症、慢性硬膜下血腫などアルツハイマー病以外の病気が物忘れの原因のこともあるので、診断においては見極めが肝心だといいます。

新井先生は、脳に沈着するアミロイドβたんぱく量を測定できる最新鋭の画像診断装置「アミロイドPET」なども駆使しながら正確な鑑別診断に努めています。

他院で若年性アルツハイマー病と診断された患者にこの検査を実施し、アミロイドβたんぱく量が正常だったのでもう一度精査し、アルコール性健忘症が原因だったことを突き止めたこともあるそうです。

「アルツハイマー病などの神経変性疾患以外の病気では、発見と治療が早ければ早いほど治りやすいものが多いのです。また、アルツハイマー病だったとしても、早期に見つけて薬を使い始めたほうが効き目がよいとのデータがあり、進行を遅らせ、よい状態を維持することにもつながります」
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