サルビアの魅力を追求したマニアックさに感嘆
水戸にはウメで有名な偕楽園がありますが、その和風の庭とは対照的に水戸市植物公園は洋風のガーデンです。エントランスを入ると地下水を利用したせせらぎとともに緩やかに下るように庭が広がります。その小径のあちらこちらにボーダー花壇があり、この時季にはどの花壇でも主役をはっているのが、サルビアの仲間です。
せせらぎを下る途中のボーダーの9月末の様子。奥のボーダーはちょうど今頃、レウカンサや黄花のサルビア・マドレンシス‘イエローマジェスティ’が、ボリュームある姿で花を咲かせている。
一年草のスプレンデンスはよく見かける朱赤だけではありません。ピンクやサーモンピンク、淡黄緑、シックな赤紫や黒に近いダークな紫まで、しゃれた花色が豊富にあります。草丈が低めのスプレンデンスに対し、草丈が高くボリュームたっぷりなのがレウカンサです。基本種の紫のほかに‘ピンクアメジスト’というかわいらしい品種もあるので、ぜひ見つけてください。
サルビア・スプレンデンスは花色がおしゃれ。紫は‘フェニックスパープル’、サーモンピンクは‘あやのピーチ’。どちらも人気の品種。
ひょうたん池まで下り芝生園に向かうと、フレッシュな緑色を背景に見事に咲き誇るサルビアのボーダーがあります。こちらでは、吸い込まれるように深く澄んだ青紫のコバルトセージや、秋に咲く優しい水色のサルビア‘アズレア’などにぜひご注目を!
澄んだ青紫が魅力的なコバルトセージ。正式名はサルビア・レプタンス。
いま見たサルビアがいったい何の品種か、その答え合わせをするために、「水戸養命酒薬用ハーブ園」のコーナーへ向かいましょう。そこでは庭で咲いているサルビアを鉢植えにし、品種の説明を記したプレートが添えられています。メモをとるのが大変なほど種類が多いときは、その花と説明プレートの写真を撮っておくのがおすすめです。品種名がきちんと確定できるのは、仕事上とてもありがたく、水戸市植物公園のていねいな対応に感謝しています。
美しい空色のボッグセージ。正式名はサルビア・ウリギノーサ。
「ねえ、マニアックでしょう!」と園長の西川綾子さん。いえ、マニアック、とても素敵です!勝手な固定概念から知ろうともしなかったサルビアの、本当の魅力を存分に知らしめてくれる庭はとても斬新。きっと花好きな方は、楽しい興奮に浸れることと思います。
サルビアの仲間のキバナアキギリ。アキギリとキバナアキギリの自然交配種の群生が見られるのもマニアックな植物公園ならでは。