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患者・市民が立案段階から参画することで、よりよい医学研究へ

2019.08.16

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未来の医療 進歩する生命科学や医療技術。わたしたちはどんな医療のある未来を生きるのでしょうか。「未来を創る専門家」から、最新の研究について伺います。今回は「市民や患者の医療や研究への参画」についてです。前回の記事はこちら>>
前回は医療にかかわるさまざまな場で患者や市民の意見を取り入れる仕組みができ、会議に委員として参加する患者・市民が増えていることを紹介しました。(前回の記事はこちら>>

今回は、医学研究への患者・市民の参画の新しい動きについて、東京大学医科学研究所教授の武藤香織さんに聞きます。

〔未来を創ろうとしている人〕武藤香織(むとう かおり)さん


武藤香織さん

1993年慶應義塾大学文学部卒業。95年同大学大学院社会学研究科修了(社会学修士)。98年東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻博士課程単位取得満期退学。2002年博士(保健学)取得。財団法人医療科学研究所研究員、米国ブラウン大学研究員、信州大学医学部保健学科講師を経て、07年より東京大学医科学研究所准教授、13年より現職。09年4月より同大学医科学研究所研究倫理支援室室長を兼務。

国も推進する医学研究への患者・市民参画


医学研究への患者・市民参画は国の方針です。

健康や医療に関する研究や産業の振興に取り組む、国の健康・医療戦略推進本部が決定した「医療分野研究開発推進計画」は一部変更され、2017年から「臨床研究及び治験の実施に当たっては、その立案段階から被験者や患者の参画を促進する」と記されています。

とはいえ、具体的にどのように進めるかは手探り状態です。

そこで医学研究の助成機関である日本医療研究開発機構(AMED)では「臨床研究等における患者・市民参画に関する動向調査」を実施するとともに、同調査委員会監修のもとに「患者・市民参画(PPI:Patient and Public Involvement)ガイドブック~患者と研究者の協働を目指す第一歩として~」をこの2019年4月に公開しました。

「患者・市民参画(PPI)ガイドブック」とリーフレット「医学研究・臨床試験における患者・市民参画(PPI)について」

2019年4月にAMEDが公開した「患者・市民参画(PPI)ガイドブック」とリーフレット「医学研究・臨床試験における患者・市民参画(PPI)について」。それぞれ下記URLからダウンロードできる。
https://www.amed.go.jp/ppi/guidebook.html
https://www.amed.go.jp/ppi/leaflet2018.html


同調査委員会副委員長であり、制作にあたった武藤さんは「研究者を主な読者として想定していますが、参画する患者・市民のかたがたにも参考になるように工夫しました」と話します。

ガイドブックによると、医学研究・臨床試験の過程で研究者が患者、元患者、家族、市民らの知見を参考にすることで、研究参加者を保護しながら研究をスムーズに実施し、より役立つ成果を出せるという意義があります。

また、研究者は研究に新たな視点や価値を得、参加者の不安や疑問の解消、理解促進につなげることができ、参画する患者や市民は研究参加者の利便性や理解の向上を促進し、研究や医療への関心も高まるとされます。

患者・市民参画の位置づけ

患者・市民参画の位置づけ

「患者・市民参画(PPI)ガイドブック」(日本医療研究開発機構)p.7を編集部で改編
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