2児の母でもある永作さん。とても来年50歳になるとは思えない。――女優という生き方を選んだ永作さんご自身の人生についてはどうでしょう? 女優の仕事にどんな魅力を感じますか?「魅力はやっぱり、たくさんの人生を感じられるところですね。こんなふうにいろいろな立場の人を演じることがなかったら考えもしなかったことに、多少なりとも至らざるを得ない。私、女優の仕事を始めた頃はあまりやる気がなくて、自分はどうしてこんな仕事をしてるんだろう?と考えたことがあったんですね。そのとき、たぶん私は人としての修業が全然足りなくて、それでこの仕事を与えられているんだろうなと思ったんです。もっと人と向き合え、いろいろな人の人生を知れ!と」
――演じる仕事の面白さに目覚めたきっかけは、何かあったんですか?「いえ、続けるうちに徐々に……という感じですね。だから、自分の考えなんてあてにならないなと思いますね。そんなに考えてもしょうがない。なるようにしかならないから、今はその時々を生きてます(笑)。ただ一つ言えるのは、人と関わることで得られるものは大きいということ。たとえば、苦手な人がいたとして、そこでどう向き合っていくかを真摯に考えることで、確実にその人の人間的スキルは上がっていく気がします」
――今回の舞台では、15年も遠のいていた人達と1対1で向き合っていく役を演じます。しかも演出は、ノラ役に永作さんを指名した栗山民也さん。得られるものは多そうです。「普通はダメ出しされるとへこむんですが、栗山さんにダメ出しされると逆に意欲が湧いてくるんです。底辺はどこにあるんだろう? と思うくらい台本を掘り下げて読んでいらっしゃる方なので、むしろ聞きたくなるというか。いろいろなパターンを試しながら、本番に入ってからも変化していく楽しみがあるのが舞台。ちょっと修業みたいなところもあるんですが(笑)、繰り返しやって“重ねていく面白さ”を味わいたいですね。栗山さんの脳内にあるイメージが、舞台上にどんなふうに立体化されるのか楽しみです」