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いつ始めても遅すぎることはない!ニコチン依存症を治療し卒煙に導く「禁煙外来」〈前編〉

2019.08.23

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自力で禁煙に成功する人は全体の一割にも満たない


たばこによる健康被害を減らすために、禁煙治療が保険診療として認められたのは2006年のことです。

慶應義塾大学病院呼吸器内科では、その翌年の2007年に禁煙外来を開設し、毎年50~60人の喫煙経験者に対して禁煙治療を行っています。

卒煙達成率は65~70パーセントを維持し、全国平均が30パーセント程度という状況の中、比較的高い成績を得ています。


「自力で禁煙に成功する人は1割にも満たないことがわかっています。それほどたばこをやめるのが難しいのは、喫煙者の多くがニコチン依存症に罹っているからです」と同外来の診療を担当する舘野博喜先生は説明します。

たばこには、タールや一酸化炭素をはじめ有害な化学物質が実に200種類以上含まれていますが、最もやっかいなのがニコチンです。

依存性が強く、そのリスクはヘロインやコカインといった麻薬を上回り、吸い始めるとやめられなくなります。禁煙治療とは、まさにニコチン依存症を治すことに尽きるのです。

そのため、禁煙外来ではニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)が必ず行われます。依存性が強いほど点数が高く、10点満点中5点以上はニコチン依存症と判定されます。

また、35歳以上の人はブリンクマン指数(喫煙本数/日×喫煙年数)も確認されます。「これらを含め、国が定めた4条件を満たした場合、保険診療による禁煙治療が受けられます」。

受診から治療までの流れ


●禁煙外来を受診
1. 喫煙状況に関する確認(問診)
2. 禁煙に対する意思などの確認(問診)
3. ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)の実施
4. 喫煙に伴う症状や身体状態の確認(問診・診察)

●診察の結果、下記の条件に当てはまる
1. ただちに禁煙しようと考えている
2. TDSでニコチン依存症と診断された
3. ブリンクマン指数(喫煙本数/日×喫煙年数)が200以上(34歳以下は不要)
4. 禁煙治療を受けることを文書で同意

●標準禁煙治療プログラム(保険適用)の実施
・外来治療(5回・12週間)
呼気一酸化炭素濃度測定を行い、禁煙状況を客観的にモニタリングしながら、禁煙補助薬を使って禁煙治療を実施。治療中は医師から離脱症状への対処、継続における問題点の把握とアドバイスなどのサポートを受けられる。

(「禁煙治療のための標準手順書 第6版」を参考に作成)
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