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図書館、本、上野という町への愛が溢れる長編小説。中島京子『夢見る帝国図書館』

2019.08.28

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今月の本

中島京子(なかじま きょうこ)さん

中島京子(なかじま きょうこ)
1964年東京都出身。2003年『FUTON』でデビュー。『小さいおうち』で直木賞を、映画化された『長いお別れ』で中央公論文芸賞、日本医療小説大賞受賞。著書多数。


明治に開館した「帝国図書館」と、図書館についての小説を書きかけていた“喜和子さん”。


日本初の近代図書館が辿った紆余曲折の歴史を縦軸に、謎を残したまま逝った喜和子さんの人生を織り合わせた中島京子さんの『夢見る帝国図書館』は、図書館、本、そして上野という町への愛が溢れる長編小説だ。

“上野の図書館のこと、書いてよ”。

ご自身を連想させる作家の“私”が偶然出会った喜和子さんにそういわれることから始まる本作について、

「今、国際子ども図書館になっている帝国図書館はすごく素敵な建物で、戦前は錚々たる作家が来館していたとか、図書館はつねに金欠だったとか、調べていると、おもしろい話がたくさん出てきたんです。

いつか書きたいと思いつつ、史実を拾うだけではおもしろい小説を書けるかどうかわからなかったので、エピソードで綴る帝国図書館の歴史と、1人の女性の個人史を組み合わせる構成を考えました」と、中島さん。
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