見かけによらず低い声の持ち主。そのギャップがまた、たまらない。――作品の題材は、KERAさんが敬愛し、これまでもたびたび取り上げてきた作家フランツ・カフカの架空の長編小説。ありもしない原作を舞台化するという発想からしてユニークです。「さすがKERAさんだなと思います。白井 晃さん(本作品をプロデュースするKAAT神奈川芸術劇場の芸術監督)も、騙されたそうです。最初にKERAさんから“カフカの4作目の長編を知ってますか?”と言われて、〝そんなのあるんですか?”と前のめりに反応してしまったと、笑って話されてました」
――カフカの作品にはどんなイメージをお持ちですか?「やっぱり難解なイメージがあります。カフカの『変身』と『城』を読んだんですけど、『城』は本当にわけがわからなかったし。でも、この『ドクター・ホフマン~』はKERAさんが書くカフカの話なので、そんなに難しく考えなくていいのかなとも思ったり。というか、まだ何のヒントもない状態なので、正直どういうスタンスでこの作品に臨めばいいのか、出演する側もよくわかってないんですよ(笑)」
――舞台の題材になるはずの小説も、KERAさんの頭の中にしか存在しませんしね。「そうなんです。ただ、かなり自由度が高い作品にはなるだろうなと思ってます。カフカが書いた3つの長編はどれも未完だったり、途中が抜けていたりするので、シーンが飛んだり、ちゃんと結末がなくても、“カフカはそういうものだから”って言えるじゃないですか(笑)。稽古が始まったらまず最初に、カフカのこういう部分を面白がりたい、楽しみたいというような話をみんなにするとKERAさんがおっしゃっていたので、前回もそうだったように、みんなで話しながら作っていけたらと思います」