彼にしか見えない景色があるはず。だから、小栗 旬さんにこの役を
太宰を演じた小栗さんは、難役のオファーを受けて悩んだそうですが、蜷川監督からの「小栗くんでなければ」という言葉を聞き、脚本に魅了されて出演を決断したといいます。
「太宰の、圧倒的なスター作家でありながら評価されきっていなかったっていう、そこが私は好きなんですよね。トップにしかわからない辛さだったり、スターにしか見えていない景色とか孤独とか憤りみたいなものってあるはずで。必ずしも演じる人が役と同じでなくてはいけないわけではないんですけど、小栗くんにも彼にしか見えていない景色が絶対あって、彼が演じたらどうなるんだろうっていうのがまずあったんです。小栗くんの中にあるものづくりでトップを走るしんどさ、孤独みたいなものを引き出したい。何より、私が小栗くんが演じる太宰を見てみたいという思いが強くありました」
その小栗さん演じる太宰と相対する3人の女性には、「だいぶ強めな3人を集めました(笑)」。蜷川監督が自身から一番遠く、「理解しがたいところがたくさんあった」という太宰の妻・美知子は、「りえちゃんがやると圧倒的に説得力を持つ」。さらに、子供たちの素晴らしい芝居も加わって、家族の描写が思った以上に厚くなったそうです。また、「かわいいんですよ。天真爛漫で。普段の楽しそうにしてる彼女って最強なんですけど、その最強感を出すのが使命」と蜷川監督が言うのは、静子役の沢尻さん。そして、「難しい役だし、女優さんにとっては賭け」だという富江役には、「二階堂ふみしかいない」。その二階堂さんの「実力がちゃんと出た作品になったんじゃないかなと思います」。
登場人物の表情にも注目。蜷川監督いわく、小栗さんは「奥さんに“壊しなさい”って言われたあとなど、素晴らしい表情をしてます」。