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さまざまな手術の情報を見える化した 東京女子医科大学の“インテリジェント手術室”

2019.09.20

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データの保存や送信、多くの病院への普及が課題


Hyper SCOTの今後の課題となるのは、一例あたりの手術で取得できる大きなデータの保存や送信をどうするかということ。

「機器ごとに得られる情報と全体を同期したときの情報の量や質を共同研究先の企業とさらに検討していきます」。

また、数億円かかるこのシステムの普及には病院が導入する動機づけが欠かせません。


「このシステムを使うことによる治療上あるいは医療経済上のメリットを証明していきたい」と村垣さんは意気込みを語っています。

手術中に行われる検査


どんな目的でどんな検査が行われるの?——


〜術中迅速診断によって手術の方法を確認したり、切除範囲を決めたりする〜


手術中には手術の進め方を決めるためにさまざまな検査が行われます。

よく知られているのは、摘出したがんの組織を病理医が迅速診断して、がんのタイプを調べる検査です。

SCOTでは10分程度で組織の細胞のDNA量を解析して悪性度を調べる装置が導入されており、摘出をさらに進めるかどうかの判断に役立っています。

悪性脳腫瘍、骨や筋肉のような整形外科領域の腫瘍などでは、いったん切除をした後に被ばくがないMRIによる画像診断で、腫瘍が取りきれているかを確認することもあります。

悪性脳腫瘍の神経膠腫では、部位や大きさにもよりますが、腫瘍の切除によって脳の機能を損傷することがないように、手術中にいったん麻酔から覚醒させて、脳を刺激し、患者の反応を見る覚醒下手術を行うことがあります。

この際の神経機能検査では、患者は呼びかけに応じて文章を読む、手足を動かすなどの行動をします。その反応の具合によって、外科医は切除部分と残す部分を決め、また、放射線療法や薬物療法との併用の必要性を判断します。

最近、手術中に血管のX線造影ができるハイブリッド手術室が増えてきました。心臓や脳の血管のカテーテル手術の際に自動的に作成される三次元画像を見ることで、より安全かつ効果的に手術を行えます。

このように、よりよい手術、術後の合併症の予防などを目的に手術中に手術の進行具合や患者の様子、病気のタイプなどを調べ、迅速に判断することが増えています。

そこでは診断・治療技術の進歩、手術室などの病院の設備の充実、訓練された医療スタッフが支えになっています。

体と心が解かる 生き方が変わる 「未来の医療」

取材・文/小島あゆみ イラスト/tokco〈LAIMAN〉

『家庭画報』2019年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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