2019年9月26日(木)には、小説版『おいしい家族』が単行本として発売される。文学と映像、両分野で才能を発揮するふくだももこ監督。帰省した娘に父が告げた言葉は、「父さん、母さんになろうと思う」
「この映画は、私の思うユートピアを描きました」。映画が公開される前に行われるマスコミ向けの試写で配布された、映画『おいしい家族』のプレスシートにふくだももこ監督が自筆で記した一文です。
仕事も結婚もうまくいかず、都会での生活に疲れ気味の橙花(松本穂香)。母の三回忌に故郷に帰った橙花を迎えたのは、母の服を着た父・青治(板尾創路)だった。さらに、見知らぬ中年男・和生(浜野謙太)とその娘・ダリア(モトーラ世理奈)が登場。父は、和生とダリアと家族になるという。そして、父が言葉を続ける。「父さん、母さんになろうと思う」と。
ふくだ監督は、なぜこの作品に描かれる世界をユートピアと思うに至ったのでしょう。
「家族というテーマはずっと私の中にあって。家族とは血のつながりであるっていうのが一般的な考えの一つじゃないですか。でも、私の中では、家族とは血のつながりではないという答えが出ているんです。私は、両親と血がつながっていない養子として育って。父・母・兄・私の4人家族なんですけど、全員血がつながっていない家族なんです」