青治が橙花に届けたのは、親に言ってほしいナンバーワンの言葉
たくさんいるであろう、自分を好きになれない人。そんな人にもおすすめしたいのが本作。観ると「試写室から出てきた人たちが、めちゃくちゃおいしいもん食ったあとみたいなホクホク顔になってる」とふくだ監督がSNSで発信したような状態に。それは、自分は自分のままでいいのだと思えるから。本作にちりばめられた、人が人を肯定する、やさしさと素敵な言葉がそう思わせてくれるのです。中でも、予告編でも観られる、父が橙花にかける「生きてれば、それでいい」は、「親に言ってほしい言葉ナンバーワン」だと言うふくだ監督。
「そういう言葉を聞いたり、自分の好きなようにやっても意外と世の中はやさしいよって思ってもらえたら。で、おいしいものでも食べに行って、“いい1日だったな”って、その一瞬だけでも思えたら、自分の過ごした時間を大切に思えたってことやから、それは自分を好きになってるってこと。一瞬でもそうなれたら、その人は生きていける気がするんです。公開されたら、作品に対する反発も否定も出てくるとは思うんですけど、どんな意見でも否定しようとは思わない。その人はその人で、その人の人生があるから。逆に、私が思う以上に、この映画を豊かに観てくれる人もたくさんいて。そういう人が増えていって、その人たちがまた誰かにやさしくして……って広がっていくことが本当に楽しみなんです」
橙花に青治がかける言葉、和生がダリアに抱く思い、ダリアの友達・瀧(三河悠冴)への父の言葉……。スーッと心に染み入ってくる。