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菊乃井・村田吉弘【日本のこころ、和食のこころ】七月 千日詣

2017.07.01

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焼いた鮎の頭と尾でだしをとった鮎にゅうめんは、うまみと香ばしさのハーモニーが絶妙。暑いときこそいただきたい。椀、盆/漆器はたけなか

 

先ほども申しましたが鮎は内臓をいただく魚。ですから焼きすぎは禁物なんです。焼き方を工夫して頭の中に脂がたまるように焼きます。頭はカリッと、内臓はふわっと、尾は干物のようなドライな感じを大切に。三種の違う味わいを楽しんでいただけるように考えています。大きさも大切で手のひらに余るような大きなものはあきません。川魚は頭から尾まで骨ごと食べられることが肝要なんです。


そしてこれは炭火で焼き上げること。炭火は遠赤外線と近赤外線の二つの効果があり、また、赤外線の輻射熱は表面を均一にすばやく焼き上げて食材を硬化させるため、内部のうまみを閉じ込めてしまう働きがあります。人間に与えられた〝火〟の効果、炭火の効果をさらに進化させた、ガス調理器が開発できたら……と願っています。

村田吉弘/Yoshihiro Murata

料亭「菊乃井」3代目主人。
京都の本店と木屋町店、東京の赤坂店の3店舗を統括し、この春に京都の本店の隣に、お弁当と甘味を供する「サロン・ド・無碍」をオープン。日本料理アカデミー理事長ほか数々の要職を歴任し、「和食」のユネスコ無形文化遺産登録に尽力。和食を日本文化の重要な一つと考え、世界に発信するとともに、後世に伝え継ぐことをライフワークと考える。

和食文化の面白さ、奥深さがわかる一冊! 菊乃井・村田吉弘さんの人気連載が本になりました

菊乃井・村田吉弘の<和食世界遺産>和食のこころ 村田吉弘 著

撮影/小林庸浩

「家庭画報」2017年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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