アルベール大公とシャルレーヌ妃を戴くモナコ「赤十字舞踏会」
モナコ赤十字社のメンバーたちの出迎えを受けながら、舞踏会場へと通じる花道を颯爽と歩む大公夫妻。「私には長年の夢があります。あらゆる側面で世界の規範となりうる国をつくることです。生活や発展、福祉や平和の規範です」。現大公の戴冠式の際のスピーチは公国のポリシーを象徴するもの。
地球環境を守る取り組みを世界に先駆けて行う姿勢は、モナコ赤十字社総裁としての活動にも通じています。毎年行われるこの舞踏会にも大公夫妻の登場が大きな意味を持っているのです。
モナコ赤十字社事務局長 フレデリック・プラチーニさんに聞く
モナコ赤十字社の活動と公室との深いつながり
小国であるがゆえに相互協力の意識が高く、新しく住人となった人々が国の恩恵に応える形で寄付を惜しまないのがモナコ。チャリティとラグジュアリーを結びつける要になっているのが公室のかたがたの存在だと、プラチーニ氏は語ります。
フレデリック・プラチーニさん
アルベール大公が総裁を務めるモナコ赤十字社でキャリアを重ね、現在は事務局長として日々の活動の陣頭指揮を執る生粋のモナコ人。舞踏会では終始笑顔でVIPたちを迎える。モナコ公国の発展とともに歩む赤十字社の存在
モナコ赤十字社は1948年に設立されました。戦後間もない当時は貧困や孤児という問題への取り組みが急務でしたが、時代とともに赤十字社の活動は変遷してきました。
モナコでは、F1グランプリやサッカーの大会などで事故が起きたときの救援にも赤十字社が活躍するほか、社会的に弱い立場にある人が抱える問題への初動も我々の仕事です。
専従スタッフ60人、600人のボランティア、年間予算1000万ユーロ(約13億円)という規模は国のサイズからするとかなり大きなもので、活動は国内にとどまらず、国境を接するフランス、移民問題の最前線にあるイタリア赤十字社とも協力して支援を行っているほか、ブルキナファソでの取り組みなどアフリカへの援助も行っています。
設立以来すべての大公が総裁職を歴任し、現在は地球環境問題に特に熱心なアルベール大公がその職にあります。
そして、1958年から1982年に亡くなるまでは現大公の母君、グレース妃が総裁でした。献血が始まったのもグレース妃の時代でしたし、何といっても舞踏会にハリウッドスターが参加し、大口の寄付が集まり、世界的に見て特筆すべきチャリティイベントになったのはグレース妃の大きな功績です。
モナコ公室赤十字活動の歴史
モナコ国民にとって公室はまるで家族のような親しみを覚える存在だといいます。昨年(2018年)モナコ赤十字社創立70周年を記念して一般に公開された資料写真の数々には、現在まで連綿と続く公族のかたがたの心温まる活動の様子が残されています。
「グレース妃病院」を訪問するシャルレーヌ妃。公妃が「母の日」に産院を訪問するのがモナコ赤十字社の伝統行事。 〔特集〕真夏の夜の社交界 モナコ公国 華麗なる舞踏会へ (全6回)
◆誌面の感動を体験しに、現地へ行きませんか?◆
モナコで最も格式のある舞踏会を体験いただける現地ツアー“家庭画報の旅”を、2020年7月下旬に実施いたします。
詳しくはこちら>>撮影/小野祐次 取材・文/鈴木春恵 協力/モンテカルロ・ソシエテ・デ・バン・ド・メール モナコ政府観光会議局
『家庭画報』2019年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。