元号は、お酒好きのキャラで知られるこの人の序文から
「令和」になって「得をした!」と思うことの1つが、私たちにとって『万葉集』が、こんなに近しいものになったこと。しかも、「序文」がこれほど注目のアイテムになるとは、少し前なら考えられないことでしたよね。
この「令」「和」という2文字が入った序文は、大伴旅人(おおともの たびと)が、自分の邸で開いた宴について語った言葉でした。大伴旅人は、「酒をほむる歌」(讃酒歌)という歌を13も残しているほど“お酒好き”で知られる歌人。この宴も、さぞや、にぎやかなものだったことでしょう。
この「酒をほむる歌」と出会い、「すっかり旅人(たびと)に恋をしてしまった」と語るのは女優の檀ふみさんです。
檀ふみさんの『万葉集』と、父・檀一雄の『万葉集』
大伴旅人は、また、妻を亡くした歌、亡妻挽歌(ぼうさいばんか)も8つ残しています。
『万葉集への招待』というテレビ番組で檀ふみさんは、お父さまである小説家・檀 一雄さんの作品
『リツ子・その愛』『リツ子・その死』について、これらの小説は、「最初の妻を亡くした父の亡妻挽歌(ぼうさいばんか)だったのではないか」と、旅人(たびと)の人生とお父さまの人生を重ねて思う気持ちを語っています。
書影提供「よみた屋 吉祥寺店」時空を超えて届く声、通うこころ
同じ番組で、檀 ふみさんは、
『日めくり万葉集』という番組で語りを務めていた頃の話もしています。ある日、檀ふみさんは調べものをしようと、お父さまの蔵書から『万葉集』を手に取ったところ、細く裂いた原稿用紙が、ふせんのように、いくつもはさまれていました。
いったい、このふせんは誰の歌にはさまれているのかと見ていくうちに、ほとんどが大伴旅人の歌だったことに気が付きました。
檀ふみさんは、その時のことを、「お父さまも、旅人(たびと)を好きでしたか!」と、とても嬉しい気持ちになり、「何十年かぶりに、父と会話をしたような気持ちになりました」と、その時の気持ちを語っています。
きっと出会える、私に響く言葉
『家庭画報』2019年7月号で檀ふみさんは、『万葉集』の魅力を「千三百年たっても、人が誰か(何か)を大切に思う心は何も変わらない。『万葉集』は、それを教えてくれる。」と書いています。
古くからの友人のように万葉の歌人や歌と親しんできた檀ふみさんにだからこその講座、「檀ふみと楽しむ 『万葉集』のこころ」が開催されます。
あなたも、万葉の歌を通して、会いたい誰かや、忘れかけていた自分の気持ちに出会うことができるかもしれません。
《開講3周年記念》 セブンアカデミー×小田急ポイントカード 共催 檀ふみと楽しむ『万葉集』のこころ
●開催日時
2019年10月13日(日)
13時30分~15時
●講座内容
NHKの『日めくり万葉集』で語りを担当した檀ふみさんが、『NHK日めくり万葉集』を監修した慶應義塾大学名誉教授の藤原茂樹さんと現代に息づく『万葉集』の魅力についてお話しします。
セブンアカデミーとは――『家庭画報』をはじめとする数々の雑誌や書籍を出版する小社が、主催・運営するカルチャー教室です。世界と文化の頭文字をとって、「セブンアカデミー」と名づけました。弊社刊行物の著者や各界で活躍する著名なかたがたを講師に迎え、出版社ならではの上質なカリキュラムの講座をご提供。わかりやすさ・楽しさも踏まえて、お子さまからシニア世代まで幅広い年齢のかたがたを対象とするテーマと内容を展開してまいります。余暇の楽しみや、ステップアップのきっかけに……。洗練された空間で思い思いの“学びの時間”をお過ごしください。