——是枝監督からのオファーを受けて、どう思われましたか?
宮本信子さん(以下、敬称略):3年前に伊丹十三賞を是枝監督にもらっていただいたんです。そのときにお会いしたのが初めてで。今回のお話をいただいたときに、私としてはちょっと悩んだんですよね。今まで、吹き替えの仕事をしたいとか、考えたこともありませんでしたし。でも、監督とのご縁があってのことなので、やらせていただきました。
宮崎あおいさん(以下、敬称略):私は是枝さんの作品も是枝さんも好きなので、どんな形でも是枝さんの作品に関われるのはうれしいなと思って。だから、すぐにやりたいです、やらせてくださいってお返事をしました。
宮本:でも、準備期間が……ね? ホントに少なかったんです。
宮崎:はい。
宮本:だから、(準備は)DVDを観るとか……。『8人の女たち』をもう一度観たりして、ほかの作品ではどんな芝居をしているのかしら、って。
宮崎:私も、過去の作品を観たりしました。それから、いただいた(『真実』の)DVDを時間の許す限り観て。実際に声をあてるときになってしまうと文字を見る時間が増えてしまうので、文字を見ているときでもジュリエット・ビノシュさんの顔、表情が自分の記憶の中にある状態で文字が読めるようにしておきたいなと思って、とにかく観ました。何をしたらいいのかわからなかったので、とにかく観るしかできなかった感じですね。
「いろいろな女優さんがいる中、これほどの女優役はないと思いますし、私とは全然違うタイプの女優なので、思い切ってやりました」