——アフレコの前に、役作りについて打ち合わせがあったそうですね。
是枝:あったけど、「すみません、よろしくお願いします」って、それぐらい(笑)。
宮本:私は、「どうして私を選ばれたのですか?」って。
是枝:そうそうそう。そういう話をしたくらい。
宮本:細かいことはそんなになかったので、私なりのファビエンヌを声でどう表現するかばかり考えて……。映像はありますけど、声でどうなるのかっていうことを考えました。
是枝:(宮本さんは)すごく台本を読み込まれていて。付箋は貼ってあるし、書き込みがあるし。何か所か、カトリーヌはフラットに読んでいるけども、もう少し感情をたしてもいいかっていうことを宮本さんから提案されて、「それでお願いします」って。
宮崎:私も監督とはそんなに事前に、こうしようみたいなことはなく。吹き替えの録音は、また別の監督さんがいらっしゃるので、その日にお会いして。口がここで動いているからって言葉をはめようとすると、あまり面白くなくなっちゃうので、自由にやってみてくださいっておっしゃっていたので、そういうものなんだ、わからないから吹き替えの監督さんについていこう、みたいな感じでした。
是枝:僕としては、この2人が受けてくれたのでOKって(笑)。キャスティングが8割。
——細かいことはなしでお任せします、と?
是枝:はい。
——そこまでお任せされてしまうと、かなりのプレッシャーになるのでは……。
宮本:いえ。もう受けて立つ(笑)。受けて立つしかない。
宮崎:はい。やるしかない(笑)。
ファビエンヌとリュミールのような親子関係について、「経験したことがないですし、周りにもいないので、新鮮ですね」と宮崎さん。