和気あいあいと進行したインタビュー。写真撮影時には、「壁にもたれてください」とリクエストすると、こんなに楽しそうな写真に。——是枝監督は、マノン役のマノン・クラヴェルさんを選んだ理由は声だとおっしゃっています。
宮本:素晴らしい声だと思いました。この声は絶対忘れないっていうぐらいの声。そうじゃないとファビエンヌにひっかかりませんものね。
是枝:キャスティングするときって、声が一番大事。できれば直接お会いして、話をした声で(脚本を)書きたい。その声で書ければOK。今回も読み合わせをしたんですけども、響きとかにじみ具合とかそれぞれが持ってるリズムとか、それをちゃんとつかんでおくのが大事で。日本でも同じです。キャスティングは声だと思います。
——声が大事だとおっしゃる是枝監督の作品に、声だけで参加することについて、改めて気持ちをお聞かせください。
宮本:私はひたすら是枝監督に合格点をもらえるように。それしかないです。
是枝:ホントに引き受けていただけただけで僕は大満足。
宮崎:完成した作品を観させてもらうと、画面に映ってるのはジュリエット・ビノシュさんなのに、声は自分。ホントに初めての感覚で、ちょっと頭が混乱する部分があったんです。でも、普段は映画を字幕で観ることが多いんですけど、日本語になることによって文字を追っているときとは違う、もっといろんなものがダイレクトに耳からも目からもちゃんと入ってきて、これはこれですごく面白いなと思いましたし、面白い体験をしたなと思って。だから、やらせていただけてよかったなと思いました。
——完成したあとに是枝監督から何か言葉はあったんですか?
是枝:今日、話しました。今日、ようやく会えたので。
宮本:そうなんです。
是枝:ずっと、宮本さんが気にされてますって(聞いていて)。
宮本:まだご覧になってないの? まだご覧になってないの?って(笑)。
是枝:海外を回ってる時間が長くて。今日、お会いして、ちゃんとお伝えしました。もちろん素晴らしかったです。
是枝裕和/Hirokazu Koreeda 宮本信子/Nobuko Miyamoto 宮崎あおい/Aoi Miyazaki
是枝裕和/Hirokazu Koreeda映画監督
1962年6月6日生まれ、東京都出身。早稲田大学卒業後、テレビ番組の制作会社へ。95年、映画監督デビュー作『幻の光』で第52回ヴェネチア国際映画祭金のオゼッラ賞を受賞。長編映画のほか、テレビドラマやテレビドキュメンタリー、CMなども手がける。2014年、独立。近年の主な監督作に『そして父になる』、『海街diary』、『海よりもまだ深く』、『三度目の殺人』、『万引き家族』など。
宮本信子/Nobuko Miyamoto俳優
1945年3月27日生まれ、北海道出身。84年の映画『お葬式』以降、伊丹十三監督の全作品に出演。87年公開の『マルサの女』でシカゴ国際映画祭最優秀主演女優賞をはじめ多くの賞を受賞。2014年、紫綬褒章受章。近年の主な出演作に、連続テレビ小説『ひよっこ』、ドラマ『この世界の片隅に』、『あの家に暮らす四人の女』、映画『いちごの唄』など。ジャズシンガーとしても活動している。
宮崎あおい/Aoi Miyazaki俳優
1985年11月30日生まれ、東京都出身。2002年公開の初主演作『害虫』で第23回ナント三大陸映画祭コンペティション部門主演女優賞受賞。03年には、初出演で初主演を務めた舞台『星の王子さま』で第41回ゴールデン・アロー賞演劇新人賞を受賞するなど、様々な作品で多数の賞を受賞。近作に、映画『ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜』、ドラマ『眩〜北斎の娘〜』、『あにいもうと』など。
『真実』
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ ジュリエット・ビノシュ イーサン・ホーク リュディヴィーヌ・サニエ クレモンティーヌ・グルニエ マノン・クラヴェル アラン・リボル クリスチャン・クラエ ロジェ・ヴァン・オール
日本語吹き替え版
声の出演:宮本信子 宮崎あおい 佐々木みゆ ほか
配給:ギャガ
TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー中
公式サイト
https://gaga.ne.jp/shinjitsu/Ⓒ2019 3B-分福-MI MOVIE-FRANCE 3 CINEMA