今までずっと厳しい練習を課し、目標を口にすることで自らを奮い立たせてきた宇野昌磨選手ですが、「今季のグランプリシリーズ(GPS)に懸ける思いは?」の問いへの答えは「楽しむ!」。一人で立ち向かう日々だからこそ、スケートを愛する気持ちを大切にしたい宇野選手、思う存分楽しめますように。宇野昌磨選手 日本
FS「Dancing on my own」
169.09点 2位
珍しく遠目から見てもわかるほど、キラキラ輝く衣装でリンクに登場し、拍手喝采を浴びた宇野昌磨選手。やや緊張した面持ちではありましたが、静かにふつふつと「自分自身」に対して闘志を燃やしているのが伝わってきました。
デヴィッド・ウィルソンさんに初めて振り付けてもらったFS「Dancing on my own」は、宇野選手の重厚感あるスケーティングを生かしつつ、今まで以上に表情や指先の演技でも魅せてくれるプログラム。ショートプログラム(SP)「Great Spirit」での疾走感然り、持ち前のノーブルさは漂わせながらも、果敢に攻める気概がみなぎっています。「ジャパンオープンまでには仕上げが間に合わなかった」と本人も語っていたように、ジャンプはまだ調整途中なのだと思いますが、これから滑り込むうちにあがっていくでしょう。
試合後の記者会見で「勝つための演技をしようとは思っていない。シーズンオフに、自分のやりたい演技が見つかった。プログラムが崩れない程度に挑戦していきたい」と語った宇野選手。
今季は決まったコーチを置かず、ロシアのエテリ・トゥトベリーゼコーチやスイスのステファン・ランビエルさんの元を訪れ、夏合宿に参加するなど、さまざまな刺激を受ける中で見えてきた新境地。ぶれない、揺るがない若武者・宇野選手が道を見つけたら、あとは突き進むだけです! 彼の思うペースで、ひとつずつ納得しながらクリアしていけば、滑り終わった後に「楽しかった!」と思える演技ができる日が、きっと遠からず来るはず。その時を楽しみに、宇野選手の挑戦を応援したいと思います。