知っておきたい! 頼りになる専門外来 治療を続けているのによくならない、今の治療効果に満足していない――。このような悩みを抱える人は少なくありません。こんなときに頼りになるのが「専門外来」です。一般外来ではなかなか受けられない個別性の高い治療が期待できます。今回は「ドライマウス外来」についてです。
記事一覧はこちら>> ガムテストや唾液腺シンチグラフィーなどの検査をしっかり行う丁寧な診療でドライマウスの隠れた原因を突き止める
口の中の乾きだけでなく、舌の痛み、喉の詰まり、口臭、味覚異常など多様な症状や訴えがみられるドライマウス。患者は圧倒的に女性が多く、その数は50代以降に増えてきますが、一方で診断がつかず、難民化している人たちも。そこで今回は、丁寧な診療でドライマウスを的確に診断し、隠れた原因も突き止める専門外来を紹介します。
栃木医療センター
歯科口腔外科 非常勤医師
岩渕博史(いわぶち・ひろし)先生神奈川歯科大学附属病院口腔外科准教授。1992年、東京歯科大学卒業後、慶應義塾大学医学部歯科口腔外科学教室入局。2001年より国立栃木病院(現・栃木医療センター)歯科口腔外科に勤務。13年より神奈川歯科大学附属病院口腔外科に勤務、15年より現職。日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本口腔外科学会専門医・指導医。ドライマウス、舌痛症、口腔カンジダ症、口腔粘膜疾患を専門とし、ドライマウスの治療件数では全国有数の実績がある。ドライマウスとは?
ドライマウスとは「口腔乾燥症」のことで、さまざまな原因により口の中が乾く病気。なかでも重要なのが唾液の量が減少することだ。
また、舌が痛い、舌がざらざらする、口の中がネバネバする、乾いたもの(パンやクッキーなど)が食べられない、食べ物が喉につかえる、入れ歯が合わない、味覚がおかしい、口臭が気になるなど多様な症状や訴えもみられる。
そのため、診断されるのに何年もかかったり、「年のせい」「気のせい」といわれたりすることも多い。
この病気の影響は口腔にとどまらず逆流性食道炎や風邪、インフルエンザにかかりやすかったりうつ状態を引き起こしたりすることが指摘されている。
患者数は?
患者数に関する正確な統計はなく、欧米で報告された疫学調査から算出すると日本国内での患者数は800万~3000万人と推定されている。
男性よりも女性のほうが圧倒的に多く、その数は50代以降に増えてくる。
ドライマウス外来とは?
口腔乾燥症を専門的に診療する外来のことで、その数はとても少ないのが実情。
この外来では、唾液分泌量の測定などの検査を行い、ドライマウスの診断をつけるとともに原因を探り、それに応じた治療を行う。
病院の歯科口腔外科の特殊外来として設置されている場合が多いが、歯科診療所が開設していることもある。
こんな悩みは専門外来へ!
●舌が痛い、ざらざらする、口の中がネバネバする
●パンやクッキーなど乾いたものが食べられない
●味がよくわからなくなった
●入れ歯を何度調整しても合わない など