安静時唾液量が減っているケースを見落とさない
診断では、これらの原因を見極めることが重要になってきますが、見落とされるケースもあるそうです。
「それは安静時唾液量(口を閉じて安静にした状態で分泌される唾液量)が減っている人です。唾液量を調べるガムテスト(咀嚼による刺激で分泌される唾液量の測定)は問題ないので、安静時唾液量が減っていることに気づかれないのです。
しかし、ストレス、介護疲れ、薬の副作用、加齢などが原因の場合、安静時唾液量が先に減ることがわかっています」。
年のせい、気のせいといわれ続けた患者の訴えにじっくり耳を傾ける
もう1つ注意しなければならないのは唾液量が正常なのに口が乾くと訴える人が少なからずいることです。
「唾液成分異常や保湿力の低下、精神的要因などによって起こり、近年はこのような場合もドライマウスと診断し、治療対象とする方向に変わってきています」。
これらのケースは決して少なくないため、岩渕先生は患者の話をよく聞き取り、丁寧に診療することに力を注ぎます。
「ドライマウスが隠れているのに、年のせい、気のせいといわれてつらい思いをしてきた患者さんが納得できるよう原因を突き止めてあげたいと考えています。
検査で原因が判明するのは全体の七割程度ですが、患者さんにはできるだけ検査を受けることをおすすめしています」と岩渕先生は話します。