常盤監督が反映された麟太郎は、悩みっぱなしで不安になる役
「役としては、ずっと受け身で、ずっと悩んでいて。悩みっぱなしで終わるところもあって、すごく難しいなと思いました。それでよりやらせていただきたいと思ったんですけど。悩みっぱなしの役って、すごく不安なんです。わかったほうが楽。わかっていることを、こういうことですよってお芝居することのほうが楽だし、そのほうが自分としては安心するんですけど、全然つかめないまま、僕つかめないんですって表現するのは不安で。よりどころがないんですよね。ただ、それが最高に楽しかったんですけど。
麟太郎は、自分の中で何かをつかみきれていない。家族であったり、自分の環境であったり、自分の人生についてであったり。でも、つかみきれていない一人の男性が見えてくるのが、この作品の素晴らしいところだと思っていたので、余計なことはせず、周りの人に影響され続けようと思って演じていました。麟太郎を体現するのは、自分を試せることでもあると思ったんです。そこに対してのエネルギーをもらいました。
(常盤監督は)正直な方というか、漏れ出る方(笑)。何か隠そうとしても漏れ出る方だなって。それがすごく魅力的で。麟太郎も強がっていても、強がっているということが漏れ出てしまうみたいなものはすごく意識したというか……結果、そうなった気がします」
麟太郎は受け身でしたが、「人から受けて受けて一歩前に踏み出すみたいなところは、自分と似ているような気がします」と染谷さん。