『伯爵のお気に入り 女を描くエッセイ傑作選』
向田邦子 著/河出書房新社 1700円『寺内貫太郎一家』『阿修羅のごとく』など、昭和世代にとって記憶に残るテレビドラマの脚本を手がけ、没後38年経つ今も根強い人気を持つ向田邦子。
サブタイトルにあるように、本書は“女”をテーマにしたエッセイ集。
“どうしても欲しかったアメリカ製の水着のために3か月分の月給をはたいた”(「手袋を探す」)という逸話が象徴するように、現実的で欲望の強い自分を認めたうえで、天然自然の枝ぶりで生きてゆくという覚悟。
あるいは“天上天下唯我独尊は、お釈迦様ならいいが、凡俗がやると漫画である”(「唯我独尊」)というエッセイの鮮やかな着地点。
諸事の核心を突く文章を読んで合点がいく人は、男女問わず少なくないはず。
表示価格はすべて税抜きです。
『家庭画報』2019年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。