Cookbook_Everyday_28 October毎月28日は鶏の日に制定されているのだそう。本日は、手ごろな若鶏のもも肉に、フレンチの名店・銀座レカン流のドレッシングを添えた、本格レシピをお届けしましょう。本レシピでは、フライパンで皮をパリパリに焼く定番のソテーではなく、中華鍋に網を置き、その上で鶏肉に間接的に火を入れる方法をご紹介。皮からは余分な脂が落ち、その落ちた脂から上がる煙で軽く燻された鶏肉に、ほのかな香りがつきます。肉も縮まずしっとりと仕上がりますよ。
この肉に合わせるのが、「温かなエストラゴンのヴィネグレットソース」。タラゴンの酢漬けや白ワイン、バルサミコ酢が入ったベースのヴィネグレットだけでもおいしいのですが、そこへ焦がしバターのコクを加え、エストラゴン、トマトなど素材をプラス。さらに味わいに深みをもたらし、肉料理にも合わせやすいソースになります。いつもの若鶏のグリルが極上の一皿に変身! 『「銀座レカン」高良康之シェフが教えるフレンチの基本』より。
若鶏もも肉のグリル サラダ仕立て 撮影:櫻井めぐみ
【材料 2人分】
・鶏もも肉 1枚(約220g)
・塩 適量(肉の重量の1%)
・白胡椒 適量
■シードル風味のヴィネグレットソース(作りやすい分量)
・A [エシャロット(みじん切り) 6g/にんにく(みじん切り) 少々/ディジョンマスタード 3g/塩 2g/白胡椒 ひとつまみ]
・B [シードルヴィネガー、白ワインヴィネガー 各7cc/赤ワインヴィネガー 14cc]
・C [グレープシードオイル 250cc/エクストラヴァージン・オリーブオイル 24cc]
■温かなエストラゴンのヴィネグレットソース ベースの材料(作りやすい分量)
・エシャロット(みじん切り)、タラゴン(枝付きの酢漬け)※ 各50g
・オリーブオイル 180cc
・白ワイン 40cc
・バルサミコ酢 15cc
・塩 適量
※タラゴンは枝を外して葉だけをみじん切りにする。
■温かなエストラゴンのヴィネグレットソース 仕上げの材料(2人分)
・トマト(7mmの角切り) 大さじ1
・エストラゴン(粗みじん切り)、パセリ(みじん切り) 各大さじ1/2
・バター(食塩不使用) 15g
・塩 適量
【作り方】
1:鶏もも肉にまんべんなく塩、胡椒を振る。
2:中華鍋にちょうど収まるサイズの網をのせて中火にかけ、1を皮目を下にしてのせる。
3:しばらくすると皮の脂が少しずつ下へ落ち始める。その脂が燻されて燻香になる。また、フライパンで焼くときのように、出てきた余分な脂と肉が密着することがないので、さっぱりと仕上がる。
4:皮目がしっかりと乾いたら、裏返して身の側もしばらく加熱する。
5:身の側の色がしっかりと変わり、表面が乾いたらもう一度裏返して皮目を下にし(写真上)、さらに脂を落とす。身の表面にうっすらとジュースが上がってきたら、中まで火が通った合図なので取り出す(写真下)。間接的な火入れだが、燻されてうっすらと色がつき、乾いてパリッとしている。
6:サラダ用のシードル風味のヴィネグレットソースを作る。ボウルにAを入れて塩が溶けるまで混ぜ合わせる。
7:さらにBのヴィネガー3種を入れ(写真)、よく混ぜる。甘みのあるシードル、塩の強いものに合わせる赤ワイン、爽やかな白ワイン。個性の違うヴィネガーを合わせて複雑な味わいに。
8:Cのオイルを7に少しずつ垂らしながら攪拌する。全体を大きく混ぜるのではなく、オイルを落とす場所を一点に決め、そこをホイッパーで集中して攪拌することで、全体に回していくのがポイント(写真)。味をみて、塩(分量外)で調える。容器に入れ、冷蔵庫で10日~2週間は保存できる。
9:サラダの野菜(分量外)は気取らないものを選んで、シードル風味のヴィネグレットソース適量を絡める。
10:温かなエストラゴンのヴィネグレットソースを作る。鍋にオリーブオイルとエシャロット、塩ひとつまみを入れて弱火にかけ、エシャロットに火が通るまでゆっくりと加熱。エシャロットのコンフィにする。
11:10にタラゴン、白ワインを入れ、少し煮立ててなじませる。酢でなく白ワインで、ほのかな酸と風味を効かせる。
12:火を止め、バルサミコ酢を加える。この状態で容器に入れ、冷蔵庫で10日~2週間は保存できる。
13:フライパンにバターを入れて火にかけ、焦がしバターをつくる。
14:12のベースを鍋に60cc分取り分けて温めたところへ、13の焦がしバターを入れてよく混ぜる。
15:14にトマト、エストラゴン、パセリを入れ、味をみて塩で調える。サラダを盛り付けた若鶏もも肉のグリルにかける。
代々著名なシェフを輩出してきた老舗フレンチ「銀座レカン」。本書は6代目料理長・高良康之氏(2017年9月から料理長は渡邉幸司氏)による「基本のフレンチ」のレシピブックです。素材も身近なシンプルなものを用いながら、伝統に培われたフレンチの基礎をひと皿ひと皿、丁寧に作り、味付けのコツやテクニックの極意を語ります。工程写真も多数。誌上スーパーシェフレッスンという一冊でまさに保存版。