飾り気のない愛されキャラの持ち主。人懐っこい笑顔も魅力だ。――では、それ以来ずっと俳優になりたいと?
「いえ、意識したのは高校卒業後の進路を決めるタイミングです。演劇部にも入らなかったですし。うちは、姉と兄が大学を中退して専門学校に入り直しているんですね。末っ子としては、そんなお金の無駄遣いは絶対にやるまい(笑)、中途半端な気持ちで進学するのはやめようと思ってたんですけど、就職というのもピンと来なくて、将来どうしようかなあと思っていたんです。そんなある日、自転車に乗って家に帰ろうとして、ちょうど校門を出たくらいのところで、ポンと“役者をやったら面白いかな”と頭に浮かんで。その帰りにオーディション雑誌を買って、自分で書いて送ったのが直接のきっかけです」
――これが自分の仕事だと自覚したのは、いつ頃ですか?
「デビューして1年後くらいに主演させてもらった、テレビドラマのクランクアップの時です。僕にとってはテレビドラマの仕事自体が初めてで、一番年下でもあったんですけど、キャストの人達がみんな残って“お疲れ!”って言いながら胴上げをしてくれて。その時、“一生の仕事にしよう!”って思いました。その現場では、みんなで話し合って作っていく楽しさも教えてもらって、今考えるとめちゃくちゃアットホームで恵まれた現場だったなと思います。今もそうやってみんなで作っていく作業が好きですね。舞台ではその時間がしっかりある。だから好きなんだろうなと思います」
――目指している俳優像はありますか?
「最近だと、小日向文世さんみたいになれたらいいなと思ってます。大先輩ではありますけど、小日向さんは普段は本当に可愛らしいというか、柔らかな方。それでいて冷徹な役をやる時は、いったい何のスイッチを入れたらあんなに変われるんだろう?と思うくらい別人のように冷徹なキャラクターになる。今回のライト役もそうなんですけど、僕も近頃、普段の自分とはギャップがあるクールな感じの役をやることが多いので、憧れます。年齢を重ねるごとに、小日向さんみたいになっていけたらいいなと」