常設展示となる迎賓館赤坂離宮和風別館「游心亭」を再現した空間。水鏡のような水庭の先まで一体となった展開というのは金沢オリジナルのもので、犀川へ向けた眺望も心地よい。館内に入り2階に続く階段を上ると、そこは、完全なる和の建築の世界。
吉郎が設計した代表作・迎賓館赤坂離宮和風別館「游心亭」を再現した広間と茶室が広がります。
外国の賓客のおもてなしを想定したため、広間から広縁にかけて平天井と斜め天井を使った開放感がある造りの広間や、鑑賞しながら茶を楽しめるよう周囲に椅子席を配した茶室。
また、吉郎建築の特徴である、六角形の照明や、あえて見せる銅釘などの細部にわたる意匠も忠実に再現されています。
細い垂木と竿縁、細い畳の縁など、随所に吉郎ならではの建築美が見られる広間。大工や左官などの職人技にも注目したい。地下1階では、開館記念特別展「清らかな意匠」が開催され、吉郎のこれまでの代表作だけでなく、生い立ちや著作、金沢における建築物など多角的なアプローチを試みた展示となっています。
吉生氏の近代建築と吉郎氏の和風建築が見事に共存した建築館は、金沢の新しい魅力を発信するスポットになりそうです。
東京国立近代美術館模型(所蔵:金沢市)。現在開催中の特別展「清らかな意匠」では、谷口吉郎が手がけた建築作品を年代ごとに追い、モノクロ写真で紹介。建築模型なども展示する。会期は2020年1月19日(日)まで。