家族を懸命につなごうとする健気さが出た裏に監督の言葉が
15年前の土砂降りの雨の夜、そうすることが最愛の子供たち3人の幸せだと信じて、愛する夫を殺めた稲村こはる(田中裕子)。その日から抱えた心の傷を隠したまま大人になった次男・雄二(佐藤 健)、長男・大樹(鈴木亮平)、長女・園子のもとに、こはるが帰ってきて……。
松岡さんがいう「全然キレイじゃない人の心」が、本作にもたくさん出てきます。その中で園子は、比較的ストレートに気持ちが表に出るタイプ。松岡さんが出演したここ2作『万引き家族』、『蜜蜂と遠雷』と抑えたお芝居が続きましたが、一転しての園子役となりました。
「白石監督と初めてお会いしたときに、“ガツガツと人とコミュニケーションを取る人が演者さんの中にいないので、稲村家のムードメーカーをお願いしますね”というようなことを言われて。実はどきりとしたんですよね。私も人付き合いが得意なほうではまったくないので。でも、それがなんとなく私の中にずっと残っていたんです。台本を読んで、(園子は)暗い女の子ではないと思っていましたけど、その先に自分の利益があるわけじゃないのに、お母さんとお兄ちゃんたちをつなごう、つなごうとする痛々しさというか健気さは、監督の言葉がなんとなく頭に残っていたから出せたのかなと思います」
松岡さんは、撮影現場のムードメーカーだったと宣伝スタッフが語る。スタッフと気さくにコミュニケーションをとっていた松岡さん。