再会をシミュレーションした園子と似通っていた自身の状態
子供たちそれぞれが複雑な思いで母を迎える中で、再会を素直に喜び、受け入れるのが園子。ただ、「15年、大好きな母に会えなかった気持ちって、正直いうと最後まで理解できなかったんです。現実味がわかないというか……」と松岡さんはいいます。
「私は東京出身で常に母と会えますし、昨日も一緒にお茶していたくらいで(笑)。恐らく園子は、つかみかかるイメージから抱きついて泣きじゃくるイメージ、なんでもないように普通に受け入れるイメージまで、夢に見るほど何度も何度も再会するときのシミュレーションを重ねたはずだと思うんです。そんな園子が本当にお母さんを目の前にしたときに、結局どのパターンにもあてはまらない。私が想像しきれなかった園子の気持ちは、園子のシミュレーションしたのにどれにもあてはまらない状態と似通っていたんじゃないかなと思って。だから、演じていても観ても気持ち悪くなかったのかなと思っています」
自身の中の似た感情で無理することなく園子を演じた松岡さん。さらに「乾いている感じ」が欲しかったとも。髪をブリーチしたのもそのためで、「バージンヘアだと潤っているので、染めようって決めていて。でも、もっと乾きたいなと思って」ブリーチしたのだそうですが、トップからにしなかったのは、白石監督の案。トップからでは「身だしなみに気が回りすぎているということだと思います」。さらに、ネイルもなしで、「愛情というものに飢えまくってるというか。乾きすぎて、一周回って兄弟たちのお節介をしはじめているような感じですね」。
劇中で描かれるあるエピソード以降、園子は「髪も気にせず、もうなんでもいいやって」。だから、以来ブリーチしていないという設定。