——主演の笑福亭鶴瓶さんに、長文のオファーの手紙を書かれたそうですね。
「手紙を書いて俳優さんを口説いたという体験は初めてですね。でも、そんなに延々と、この映画で日本を変えようとか、皆さんを幸せにしようとか、そういうことは全然書いてませんから。当たり前の自己紹介とか、こういう映画を作りたいですね、みたいなことだけですよ」
——この役は絶対鶴瓶さんにやってもらいたいんです、みたいなことは?
「こういうふうにやりましょうねっていうこまごましたことはオファーを受けていただいて、さぁ始めましょうってなってからなので、手紙の段階ではまだ。まぁ、ラブレターですかね。ご一緒したいです、お願いします、というような」
——現場での鶴瓶さんの様子を教えてください。
「映画のチームのことを“組”って呼ぶんですね。平山組とか山田組とか。今回は平山組内鶴瓶一座、もしくは鶴瓶一座内平山組みたいな感じがして。座長でしたね、鶴瓶さんは。もちろん、役も主役ではあるんですけども、気配りとか一つのものを作っていくときの座長としての鶴瓶さんには助けられたし、素晴らしかったです。しんどいシーンもあったと思うんですけども、それに飲み込まれて萎縮するみたいな感じはなくて。テレビで観てる鶴瓶さんだし、ロケ現場に近所の方たちが見に来るんですけど、ちょっと時間が空くと、もう即『(鶴瓶の)家族に乾杯』ですから(笑)。全然力みとかいうのはなかった。もちろん緊張されていたと思うんだけど、見えなかったですね」
——綾野 剛さんは、鶴瓶さんとの10年以上の関係があったから作れたシーンがあるとおっしゃってます。
「お2人が仲がいいって知らなかったんですけど、そういう関係でよかったと思いますね。感情の通い合いがあっただろうという気がしますから。でも、感情の通い合いは、小松さんと鶴瓶さんにもあったと僕は思います」
「映画に出てくる皆が“自己犠牲”で優しい方向を向いている。観終わったあと、人に優しくありたいと思える映画です」と鶴瓶さん。