もしかしたら茜は実在して、皆さんの隣にいるかもしれない
「善悪で語るとどうしても、山田(真歩)さんが演じたお母さんに感情移入してしまうと思うんです。でも、茜のような経験をしている女性がこの社会に実在していて、もしかしたら皆さんの隣にもいるかもしれない。どうしようもない環境の中で、そうしてしまったときに、いい悪いで判断したら立てなくなるという思いがあって。だから、“自分だったら”というのは捨てて、茜がどう感じて、そこに立っていたのかだけを感じて撮りたいなと思いました」
そうして臨んだ撮影を、日々つらかったと振り返る貫地谷さん。「(山田さんは)地元の方々とコミュニケーションを取って役作りされていました」と言う一方、「台本を読んでいたら、私はそうはなれなくて。ちょっと心の余裕がなかったです」と貫地谷さん。
「一人で悩みを抱え込むつらい役ということもあり、ほかの人たちとあまりコミュニケーションを取っていませんでした。撮影中も感情が高ぶったシーンがけっこうあって、現場では消耗することが多かったですし。この映画の中で、すごく紆余曲折があり、すごくいろいろな感情の波をくぐって最後にたどりついたのですが、それがお客さまにどう伝わるのか、私自身ちょっと不安なところがあります」
山田さんは、「すごく素敵な方でした」と貫地谷さん。撮影中は、地元スーパーで買い物をして、ごはんを作ることが楽しみだったとか。