――篠原監督の演出はいかがでしたか?
山崎:芝居をつけないことで有名な監督で……。違うか(笑)。
北村:僕らの芝居を見ながら、脚本がどんどん変わっていくんです。すごい変わりましたよね。
山崎:毎日のようにセリフが変わったよね。
北村:朝、(セリフが書かれた)紙が来て……。
山崎・北村:おおー!! みたいな(笑)。
北村:撮影に入る前に、監督と俳優のコンセンサスはあるんですけど、現場で「ここはどう思う?」って聞かれるんですよ。
山崎:めちゃめちゃ聞かれるんだよね。知らんがなっていう(笑)。
――俳優としては大変ですね?
山崎:ある意味、むちゃぶりですよね。ただ、雰囲気を大切にしてくれるので、僕らの演技の流れをぶった切るとかは絶対にしなくて。いったん流れに乗ったら、どんどん進んでいきます。おそらく、自分の意図する方向に主導するというよりは、現場にいい風を吹かせてその風をさらに大きくして、作品に反映させていきたいんだろうなとは思いますね。
――作品中、あることをきっかけに修一の家族に対する気持ちが変化しますが、お二方にはそういう経験はありますか?
山崎:年齢を重ねると、親とのわだかまりがどんどん解けていくってことは、誰しもあると思います。僕もやっぱり、結婚して子供が生まれてから、親から言われてきたことや思いが理解できるようになりましたね。
北村:僕は今、22歳になったばかりなんですけど、家族に対する気持ちが10代の頃とは違いますね。いわゆる反抗期はなかったんですが、それでも、親に対してどこかで反発する気持ちはあったんですが、だんだん変わってきました。どんなに仲がよくてもやっぱり友人とは違って、家族は血が繋がってる唯一無二の存在で、自分の理解者はここに絶対的にいるんだという感覚が、成人してからより強くなりました。
「『月とキャベツ』の撮影も群馬だったので、監督の“群馬愛”も強いし、群馬の方たちも温かくて。アットホームな雰囲気のところへお邪魔させてもらった感覚で演じられました」