アレンジの妙も楽しめる
渡辺香津美さんや小関佳宏さんといったアーティストやアレンジャーに加え、村治さん自身も2曲で担当したアレンジの妙も楽しめる本作品は、今年、日本ゴールドディスク大賞インストゥルメンタル・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞した。
「ギタリストとして15歳でデビューして、25歳でイギリスの『デッカ・レコード』に移籍してからは、本当に無我夢中で楽しく演奏してきたんですが、35歳で病気休養することになってしまって。
今は理想的なペースで仕事ができています。時は勝手に前に進んでくれるので、あまり前進、前進と思いすぎず、この数年は、いい意味での“成り行き”を大事にしています。何事も心がけ次第で、どんなふうにも変えていけますから」
明るくチャーミングな人柄に、30代とはまた違う落ち着きが加わり、よりナチュラルでたおやかな輝きを放っている村治さん。40代になって運転免許を取り、犬を飼い始めたと話す美しい人は、
「10代の終わり頃からなりたいなと思っていた“年齢不詳のおばあちゃん”に向けて、こつこつとやっていきたいですね。染織家の志村ふくみ先生や、俳人の金子兜太先生、ホアキン・ロドリーゴさん(スペインの作曲家)のように、瑞々しい感性を持ったまま、素晴らしい年の重ね方をされたかたがお手本です」と笑う。
そんな村治さんがまさに満を持して臨む、サントリーホールでの久々のリサイタル。
「じっくり準備してきた公演も、お客さまがいてくださってこそ完結を迎えられます。ぜひ足をお運びいただけたら嬉しいです」
村治佳織/Kaori Muraji
東京都出身。数々のコンクールで優勝し、93年にCDデビュー。ソロ活動のほか、国内外のオーケストラと共演を重ねる。最新アルバム『シネマ』が2019年第33回日本ゴールドディスク大賞インストゥルメンタル・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞。
日本ロレックスpresents
『~デビュー25周年を越えて~
村治佳織 ギター・リサイタル2019“旅と映画に恋して!”』
© Ayako Yamamotoサントリーホール 大ホール2019年12月21日 14時~
S席5800円、A席4800円ほか
東京音響:03(5774)3030
公演の詳細はこちら>> 表示価格はすべて税込みです。
取材・構成・文/岡﨑 香 撮影/増田 慶 ヘア&メイク/宮坂和典〈mod’s hair〉
『家庭画報』2019年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。