必要性をしっかり見極め患者に不利益のない手術を
同センターの前身は、甲状腺外科であることから現在も紹介患者の多くは外科的治療を必要とするケースです。
疾患別にみると、橋本病やバセドウ病が3~4割、甲状腺腫瘍が6~7割という内訳です。
「橋本病やバセドウ病の治療は薬物療法や放射線療法が中心ですが、1割程度の患者さんは手術が必要になります。その場合、ハイリスクのことが多く、早期の甲状腺がんより手術は難しいです」。
そのため、同センターでは経験年数15年以上の医師が執刀します。
一方、甲状腺腫瘍の場合は良性と悪性(がん)の両方の患者が紹介されてきます。ただし、しこりがあるからといって必ず手術になるわけではありません。
「手術は最後の手段だと考えています」と福成先生は外科医らしからぬ方針を示します。そして、この理由について次のように話します。
「手術をすれば痛みが起こり、首に傷がつくといった美容上の問題も発生します。発声や飲み込みに影響する合併症や後遺症のリスクもあります。
甲状腺の多くを摘出すると生涯薬を飲み続けなければなりません。このようなデメリットがある以上、手術の必要性をしっかり見極めることが重要なのです」。
その結果、紹介患者の約半数は手術の必要がなく、ほかの治療法や経過観察で対応できるといいます。
「当センターの強みは、手術以外の選択肢として“甲状腺ラジオ波治療”があることです。欧米では普及している治療法ですが、日本では健康保険が適用されておらず、実施しているのは当センターだけです」。
甲状腺ラジオ派治療の流れ
昭和大学横浜市北部病院甲状腺センター「甲状腺RFA治療マニュアル」を参考に作成