侵襲の少ない甲状腺ラジオ波治療は治療による心身の負担軽減にも貢献
甲状腺ラジオ波治療とは、高周波によって発生させた熱でしこりを焼き潰す治療法で、ラジオ波焼灼術とも呼ばれます。
日本では肝臓がんの治療法の1つとして健康保険が適用され、広く普及しています。
「肝臓の場合は大きな針で患部を一度に焼き潰しますが、甲状腺では声帯の神経などに影響が出ないよう患部を少しずつ焼き潰す技術が求められます」。
それでも500例を超える治療実績がある同センターでは施術にかかる時間は約30分と短く、ほとんどは局所麻酔で治療可能です。
甲状腺良性腫瘍を中心に甲状腺ラジオ波治療を実施
治療の対象となるのは甲状腺良性腫瘍、びまん性甲状腺腫、微小乳頭がん(甲状腺がん)です。
「他院では手術対象となる3~4センチ程度の甲状腺良性腫瘍にも対応します。低リスクの微小乳頭がんに関しては経過観察が推奨されているものの、若年者や石灰化を伴わない場合は早期に増大することも報告されていますので、ラジオ波治療の適応疾患の1つと考えています」。
患者の要望をよく聞いたうえで合意形成することを診療の原則に
そして、複数の治療法を選択できる環境を提供しているからこそ、福成先生は各治療法の説明を丁寧に行い、患者との話し合いに時間をかけることを重視しています。
「5000件余りの手術を行い、患者さんとの大きなトラブルが1件もないのが私の自慢です。患者さんの要望をよく聞き、合意形成することを診療の原則に、これからも信頼関係を大切にした甲状腺治療に取り組んでいきます」。
Information
昭和大学横浜市北部病院
神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央35-1
取材・文/渡辺千鶴 撮影/八田政玄
『家庭画報』2019年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。