――それだけにプレッシャーもあるのでは?
「ありますね。観た人にそれほど感動を与え得る作品だと身をもってわかっているので。悪戦苦闘するとは思いますが、観てくださった方の大切な時間になるような作品づくりをしていきたいです」
――日本のシャイなお客さんがどう参加していくか、気になります。
「僕もです。日本のお客さんも、あそこまでニコニコと積極的に楽しんで参加してくださるだろうか?と。でも谷さんに“確かに日本人はシャイかもしれないけど、一方で周りの空気を読んだり、僕らが導こうとしている世界観を感じ取って、それに応えようとしてくれるお客さんも多いから、そういう意味では安心できるんじゃないかな”と言われて、確かにそれはそうだなと。“僕は、これは日本でも成功できる作品だと思ってます”という言葉もすごく頼もしくて、谷さんとの作品づくりがさらに楽しみになりました」
――親しみやすく、人間としても魅力的な佐藤さんご自身もこの作品にぴったりだと思います。
「本当ですか? 頑張ります(照笑)。少しでも気取っていたら務まらない作品だと思うので、まずは劇場に足を運んでくださったお客さんの前で自分をさらけ出して、安心感を持ってもらうことが大事だなという気がしています。“大丈夫。安心して参加してくださいね”という空気感を、まずつくりたいです」
今期のNHK連続テレビ小説『スカーレット』に、ヒロインの幼少期に大きな影響を与える草間宗一郎役で出演。「曲者の役が続いていたんですが、今回はすごく優しい人です」――舞台の魅力をどういうところに感じますか?
「生モノであるというところに、シンプルに魅力を感じます。贅沢ですよね。その日、そこにいた人しか味わえないなんて。お客さんと演者の間に流れる空気というか熱量が気持ちいいほど、特別なものになっていく感じが好きです」
――今回は、まさにその日、その回、そこにいた人たちでつくっていく作品。生モノの醍醐味を十二分に味わえそうです。
「そうですよね。もちろんお芝居ではあるんだけれども、人間力も試されるような不思議なバランスの作品だと思うので、どうなってしまうのか。今は楽しみと不安の間を行ったり来たりという感じです。稽古の段階から、ある程度お客さんに入ってもらった状態でやっていくとは思うんですが、初日を迎えるまでわからないことがたくさんありそう。初日は緊張して手が震える気がします(苦笑)」