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大原千鶴の心に残るレシピ「クリスマスのフライドチキン」

2019.12.02

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私の心に残る味 12月

クリスマスチキン

わが家では、クリスマスには必ず特製のチキンを作ります。きっとどのお家にも行事やとっておきの日に作る料理があり、そこには幸せな家族の思い出があることでしょう。低温でじっくりと火入れすることで皮はパリパリに、中はふっくらしっとり仕上がります。詳しいレシピは次ページ>>

料理・文/大原千鶴


クリスマス——。

それは、ものすごい山の中の和食の料理屋で、完全な仏教徒のうちの家にはかなり似つかわしくない日でした。

ですが、私が子どもだった頃は、今「草喰(そうじき)なかひがし」をやっている叔父がツリーを用意して飾ってくれたり、誰かがバタークリームのケーキを買ってきてくれたり、それなりに気遣いをしてもらっていたことを嬉しく思い出します。

うちの家のおくどさんの煙突はサンタさんが通れるほど太くはないけど大丈夫なのか?とか、靴下に本当にプレゼントが収まるのか?とか、不思議なことが山ほどあるのに、なんとなく納得して毎年ワクワクしていました。

ある時はクリスマスツリーを飾ろうとお隣の家の形の良い杉の木を自分で切ろうとして怒られたこともあります。モミの木がどれなのかもわかっていない上に、人の家の木を切ることが悪いこととも思っていない本当に奔放な子どもでした。

時を経て、自分が子どもを持って迎えるクリスマスはまた別な楽しみがありました。

毎年主人とこっそりプレゼントの相談をして、私は食事を準備します。チキンも子どもの成長に合わせて部位や大きさ、料理法を変えてきました。

ある年のクリスマスイブの夜、夕食をみんなで囲んでいたら主人が2階の寝室へ。「何だろう?」と思っていたら、2階から大きな声で「みんな大変や!!今サンタさんが窓から出ていかはった!!」と叫ぶのでみんな猛ダッシュで2階へ!

寝室にはプレゼントが置かれ、窓は開け放たれカーテンが風に揺れています。子どもたちは必死で窓から身を乗り出して「サンタさん!どこ!!見えへん!」と夜空を見上げて、窓からサンタさんの姿を探すのでした。何度も思い返す、一生心に残る素敵な思い出です。

そんな子どもたちももう大きくなって、サンタさんの正体どころか、クリスマスはお友達と過ごす日になってしまいました。ちょっぴり寂しいけれど、順送りに子どもたちがいつか素敵なクリスマスを自分の家族にしてあげられる。そんな大人になって欲しいと心から願います。

パサパサしがちな鶏肉もじっくり料理することでしっとりに


よその地方もそうだったかもしれませんが、京都では鶏肉は鶏屋さんで買うものでした。最近はそういった専門店が、どんどん少なくなってきて寂しい気がします。けれどスーパーの鶏肉も質があがっていますので、普段のお料理には十分ですね。

フライドチキンも鶏ロースも時間がしてくれるお料理です。じっくり時間をかけて揚げたり、仕込んでおけばびっくりするほどしっとりおいしくできます。

鶏ロースの漬け汁は煮卵に使ったり、炊き込みご飯にも。無駄がありません。
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