台湾の人たちに観てもらいたかったアニメーションが世界へ
中国・韓国・フランスの製作会社から実写であれば支援するという打診があったという本作。ソン監督は、それを固辞し、アニメーションにこだわりましたが、「アニメーション映画を撮ることが実写映画を撮るより難しいと、そのときの私は認識していませんでした」とソン監督。そのため、「やればやるほど苦難に直面していきました」。でも、危機に瀕するたびに、“天使”が現れたそう。それが、チーのボイスキャストであるグイ・ルンメイやテーマソングを歌うジョリン・ツァイで、「そういう人たちが周りに次々と現れて、運命的なものを感じ、諦めてはダメだと思いました」。
「アニメーションにこだわったのは、幻想の部分を多く入れたいと思ったのが大きな理由です。また、現在と過去を交互につないでいるので、そういう編集をするとなると、アニメーションが一番いいと思って。私は小さい頃から、日本やアメリカのアニメーションを観て育ってきましたので、普通の台湾人の人生を台湾のアニメとして撮って、まずは台湾の人たちに観てもらいたかったんです。それが評判を呼んで、世界のいろいろなところで気に入っていただいて観てもらえたというのは、思いがけないことでした」
東京アニメアワードフェスティバル2018コンペティション長編部門グランプリを受賞後、各地の国際映画祭で数々の賞に輝いた本作。