異なった背景はあっても、持っている“思い”は変わらない
本作は、世界中の異なる文化を持つ観客から、「自分たちの物語だ」と共感を呼んでいます。その反響を受けて、「意外ではありましたけれども、どの国の人でも“思い”は同じなんだなと思いました」とソン監督。
「例えば、家族への思い、幼い頃から持っていた夢とか希望……。そういうものが皆さんの共感を得たのではないかと思います。そのことについて、私は自信を持っていました。でも、共感を狙っていたわけではなくて、いいストーリーを作りたかっただけなんです。ただ、自分の作品を作っているときは、“こういうふうに表現してわかるかどうか”という、観客の視点で観ることを心がけていました」
「人間は真空状態にあるわけではないので、それぞれの国の社会的な背景は、必ず何かの形でその国の人に影響を与えていると思います」と言うソン監督。でも、異なった背景を持つ様々な国の人々が共感できる、それと同様の例としてソン監督は、日本の連続テレビ小説をあげました。
「私は日本の朝ドラがとても好きで。よく描かれるのは、戦時中を一生懸命生き抜くとか、家族にいろいろなことがあるとか。それを私はとても共感を持って観ています。日本の歴史をわからなくても共感できる。本作が共感できるのも、同じことだと思います」
若いスタッフたちにも、連続テレビ小説をすすめているというソン監督は、『あさが来た』と『ごちそうさん』が特に好きだという。