日本語を交えながらインタビューに応じてくれたソン監督。「女の子の思いを描くのに、アニメーションは一番ふさわしいと思いました」 女性は妻でも母でも娘でもない。それらの前に、一人の人間 「日本で学んだのは、テクニックとかそういうものではなく、内面的なものでした。日本人は、細部にものすごくこだわるところがありますよね。細部から大きな情感を作っていくという考え方、例えば小津安二郎監督の作品なんかはそうだと思うんです。アメリカというのは対極で、とにかく自己表現をしなくてはいけない、主体的に何かをやらなければならない国なんですよね。私は、その両方で暮らした経験から、自分の強い気持ちを繊細に表現するというような、日本式とアメリカ式の合わさったものを目指していきました」
日本やアメリカで過ごした時間が制作に与える影響を問うと、こんな答えが。そうして完成した本作で、かなり多く取り入れたかったという幻想の部分。そこで「子供の持つ想像力と自由さ」を表現したソン監督。想像力豊かで自由、なんでもできると思っていた子供の頃。なのに、いつのまにか自分には何もできないと思い込んでいる。ソン監督が取り入れた幻想パートは、それを象徴しているようにも思えます。でも、「女性は誰かの奥さんでもなく、母でもなく娘でもなく、一人の人間です」。だから、「本当に自分なりの独立した考えを持って、自分の夢を追いかけていくことが大切だと思います」と最後にメッセージをくれたソン監督でした。
ソン・シンイン/SUNG Hsin-Yin 監督
1974年生まれ、台北出身。京都大学で映画理論を学んだのち、コロンビア・カレッジ・シカゴで映画修士号を取得。2009年〜10年に短編実写映画『The Red Shoes』、『Single Waltz』を制作し、多くの国際映画祭で上映された。現在、初の実写長編映画『Love is a bitch』を制作中。19年11月、京都滞在時の体験をもとにしたエッセイ集の日本語翻訳版『いつもひとりだった、京都での日々』を出版。
『幸福路のチー』 監督・脚本:ソン・シンイン
キャスト:グイ・ルンメイ チェン・ボージョン リャオ・ホェイジェン ウェイ・ダーション ウー・イーハン ジワス・ジゴウ
提供:竹書房 フロンティアワークス
配給:クレストインターナショナル
11月29日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
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