演じるときに突き詰めて考えるのは、登場人物なりの考え
楽天が過去を振り返るきっかけとなる、検閲官とのシーンは「けっこうきついシーンで。お前は何者だ、と問われるし」とイッセーさん。「そういう状況はわかっていましたけれども、過去にどういうシーンがあって、今につながるのか、台本でしかわからないんですよね」と言うのは、楽天の青年期は橋爪 遼さんが演じているため。でも、「全部を理解したわけでなく、現場にいるってことがわりと楽天さんの、この映画の中での在り方に似ているんですよね。自分じゃここにいるつもりだけれども、外から見るとお前は全然違うところにいるよ、みたいな。そういうスタンスで演じていましたね」。
さらに、本作に限ったことではなく、「登場人物なりの考え。それはわりと詰めて考えますね」というイッセーさんが、その例えとして検閲官のところに行くまで、そして向かい合ってからの楽天の心の動きを聞かせてくれました。
「予想しながら行くんですね。“これから何が起こるんだ?”、“どれほど時間を取られるんだ?”、“何を聞かれるんだろう”って。でも、検閲官は“ざっくばらんな話ですよ”って言うから、少し気を緩めて、“そういえば、こんなことがあったなぁ”で過去に入っていく。そうやって検閲官にこじ開けられていくんだけど、その検閲官からまたどんどん視野というか考えというかを狭められていく、っていう言葉の拷問にかけられていくことにだんだん気づいていって……。怖いシーンだなと思ってやってました」
「(妻・いの役の篠原)ともえさんは一人でやるから大変。僕も若いときもやらないかって言われたけど、いくらなんでも無理(笑)」