イッセー尾形さんが“日本の近代漫画の祖”を演じる映画『漫画誕生』

「検閲官とのシーンは、細かく観れば、意識のひだみたいなものがクローズアップされてくると思います。じっくり観てほしいですね」

俗物のチャーミングさをぜひ劇場で発見してほしい

本作は、「表現者とは何か」を題材にした作品。方法は異なっても、同じ表現者の一人として、楽天を演じ、感じたことがあります。

「脆いものだと思います、表現者も。時代によって、おだて上げられもすればけなされもするし、忘れられちゃったりもする。でも、この映画で救われるのは最後に、楽天さんが絵を描く一番の根拠というか、原点というか、そういうものに出会い直させてくれる。これは映画ならではの救い方だなと思いましたね。そういうものを観て、自分を形作るのは自分でしかないという、当たり前のことにもう一度気づかされたりして。これは僕にも必要なことだな、と。僕なんかネタを作るしかないんですけれども、その作り方を検討するわけです。何か雑音に引っ張られていないか、本当に自分のやりたいものだけなのか、自分と向かい合う姿勢を意識させられました」


そして、読者の皆さんには、「楽天は、けっこう俗物です（笑）。俗物だけれども、俗物のチャーミングさをぜひ劇場で発見してほしいなと。ひょっとしたら、楽天さんの向こうにあなたの知っている人とか、もうちょっと言うとあなた自身が見つかるかもしれない。そんな探し物をしてください」とメッセージをいただきました。