フィギュアスケート愛(eye) 本誌『家庭画報』の「フィギュアスケート」特集を担当する、フリー編集者・ライターの小松庸子さんが独自の視点で取材の舞台裏や選手のトピックスなどを綴ります。
バックナンバーを見る>>>羽生結弦選手、NHK杯で貫禄の優勝!
緊張と課題を克服し、さらなる進化を披露
こんな晴れやかな笑顔を日本の会場で見られたのは、いつ以来でしょう。北海道・真駒内のセキスイハイムアイスアリーナにて2019年11月22日(金)〜24日(日)まで行われたNHK杯2019は、羽生結弦選手のための晴れ舞台となりました。
NHK杯のFS終了後、表彰台で心底嬉しそうな笑顔を見せる羽生選手。10月に行われたスケートカナダで、4度目にしてついに勝ち取った優勝に「これから自信を持って、自分は羽生結弦なんだと言い聞かせながら、また練習したいと思います」と語っていましたが、スケートカナダでの納得できる演技と優勝により、ここNHK杯でまたさらなる進化を見せてくれました。終わってみれば圧巻の演技でしたが、さすがの羽生選手も、この試合に向けてとても緊張していたことが試合前の公式練習の表情や、ショートプログラム(SP)演技終了後の囲み会見での言葉から伝わってきました。
グランプリ(GP)シリーズ2戦目、11月のNHK杯となれば、どうしても過去の怪我が脳裏をよぎります。とにかく無事に健康に、最後まで滑りきってGPファイナルへの出場を確定させたい。羽生選手にとっては乗り越えたい課題が数多くあった今大会、心中深く期すものがあったのでしょう。強い意志のもと、自分に課していたハードルをすべてクリア。これで、照準は12月4日からイタリア・トリノで行われるGPファイナルに定められました。