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訪問診療医がコーディネーターになり、医療・介護専門職のチームで患者の生活を支える

2019.12.24

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未来の医療 進歩する生命科学や医療技術。わたしたちはどんな医療のある未来を生きるのでしょうか。「未来を創る専門家」から、最新の研究について伺います。前回の記事はこちら>>
高齢化が進む日本の在宅医療は今後どうなっていくのか。誰にとっても他人事ではないテーマです。前回に引き続き、東京都内を中心に12の在宅療養支援診療所を運営する悠翔会理事長の佐々木 淳さんに、在宅医療の方向性や課題について伺います。

〔未来を創ろうとしている人〕佐々木 淳(ささき じゅん)さん

佐々木 淳(ささき じゅん)さん


医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長
1998年筑波大学医学部卒業後、社会福祉法人三井記念病院に勤務。東京大学医学部附属病院消化器内科、医療法人社団哲仁会井口病院副院長、医療法人社団玲瓏会金町中央病院透析センター長等を経て、2006年MRCビルクリニック(現・悠翔会)を設立。08年医療法人社団悠翔会理事長に就任。首都圏を中心に全12クリニックで、24時間対応の在宅総合診療を展開している。

診療所間の連携や機能分化、専門職の活躍が進む


前回の記事では、高齢者の数の増加によって、在宅医療を支える医師をはじめとする医療・介護スタッフが不足する未来について解説しました。

佐々木さんは特に人口が集中する都市部ではその傾向が強まると話します。一方、地方では高齢化率は上がるものの、高齢者の数が減っていきます。

「そういうところでは新しく診療所を作れないので、今、在宅医療に従事している人たちが事業縮小も考えながら連携していく、あるいは地域に合う新しいサービスを作っていくことになるでしょう」(佐々木さん)。

佐々木さんが率いる悠翔会内には緊急対応専門チームがあり、外部の医師が1人もしくは少数の在宅療養支援診療所と連携して、それらの診療所の夜間や休日の診療をカバーしています。

「患者さんにとっては2人以上の主治医が存在することになりますが、診療所の維持には欠かせないサービスと考えます。このような診療所同士の連携や機能分化はもっと進んでいきます」。

これからの在宅医療では、看護師や薬剤師らがその専門性をさらに生かすことが期待されています。

「米国などでは医師の指示を受けずに一定の診断や治療を行える看護師が活躍しています。日本でも医師が行う38の医療行為を医師の指示のもと手順書どおりに行える看護師の養成が始まっており、医師が訪問しなくてもよくなる場面が増えるはずです。遠隔医療が進んだときにも、医師の指示を受けて看護師が医療行為を行えるようになるでしょう」。

薬物療法の専門家である薬剤師についても、「個々の患者さんの体質や生活、悩みに合わせて服薬指導し、医師にフィードバックや処方提案してくれる薬剤師が増えています。高齢者は薬の種類や量が多くなりがちで、それによって薬剤性認知障害が起こることもあります。薬剤師の役割は重要で、さらに活躍してもらいたいですね」。

こうして訪問診療において各職種が専門性を発揮することで、「医師は医療・介護チームのコーディネーターとして、医学的な管理をしっかり行い、生活全般に目配りをしながら、患者さんやご家族との対話を重ね、ほんとうに必要なサービスの方向性を一緒に考えられるようになります」。
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