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何者でもない生き物『某(ぼう)』を通して半歩先の世界と人間を描く、川上弘美さんの長編小説

2020.01.15

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〔今月の本〕

『某』


『某』

川上弘美 著/幻冬舎 1600円

ある日突然この世に現れた、人間に類似した生き物・某(ぼう)。名前も記憶もお金もなく、何者でもない某は、自分のような生き物に興味を持つ医師のすすめで人間に擬態して暮らし始める。


しばらくの間、女子高校生、男子高校生、事務員として過ごした某はその後、自立を試み、病院を抜け出す。

老若男女国籍を問わず何者にでもなれるけれど、その人間になっているあいだは成長しないはずの某だったが、ひかりになり、某同士の生殖で生まれたみのりと一緒に育つなかで時間とともに成長し、他の某のように変化することができなくなり......

流れるような風通しのよい、けれど色香が漂う肉感的な文章で、半歩先の世界と人間を描く長編小説。
表示価格はすべて税抜きです。
『家庭画報』2020年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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