【茶の湯の“銘”の物語】1月　堅手（かたて）茶碗

大原や　小塩の山の横霞
立つは炭やく　煙なるらん

選・文／小堀宗実（遠州茶道宗家13世家元）

茶の湯では、茶道具に銘をつけ、それぞれが唯一無二のものになる。


遠州流ではさらに和歌による歌銘（うためい）をつけることで、豊かなる個性を持たせる。

点初（たてぞめ）で使われるこの茶碗は、十文字高台の特徴を、霞と煙が十字に交わる情景の歌銘をつけ、よりわかりやすくしている。

「利休の黒、織部の緑、遠州の白」を体現する茶碗である。